風邪7 ページ7
ASide
「祐、今日はAを俺に貸してくれるって。」
電話を切った成亮さんが笑う。
「え？どういうこと？」
「今日は俺が家で看てていいって。
しばらく悩んだけどそう言ってくれた。
この状況だったら、普通は俺をAに貸すってことだと思うんだけどな。」
こんなところに祐の成長を感じて、嬉しくなる。
「私を貸してあげるって、祐くんらしい。
じゃあ、おとなしくレンタルされようかな。」
「レンタルさせていただきます。」
私の冗談に、成亮さんも笑って返す。
しかし、この冗談が数分後に嫌な事態を引き起こすことを私は知らなかった。
「それじゃ、再開しよっか。」
「再開？何を？」
「座薬も喉スプレーも、まだやってないでしょ？」
あ！祐くんの話で忘れてた！
もう処置をされる理由も無くなった私は、掛けてあった毛布でガードする。
「さっきまではあんなに素直だったのに、祐のことが無くなった途端にこれ？」
「だってさっきは、早く祐くんに成亮さんを会わせたいって思ってたから…」
「祐のことだけじゃなくて、少しは自分の体のことも考えて。」
成亮さんが、少し厳しい顔になる。
そして、ムリヤリ私の体を横に向けた。
「イヤ！」
痛む喉を気にせずに叫ぶ。
「だって、おとなしくレンタルされるんでしょ？」
こんなときに、揚げ足を取られた。
「あれは冗談だし！」
「はいはい。下、下ろすよ。」
冗談だという私の言葉を華麗にスルーして、成亮さんが下に履いている物を下ろす。
見られているという恥ずかしさで、熱い顔がさらに熱くなる。
「変態！バカ！」
「はいはい、分かったから。
力抜いて、ふーって。」
完全に受け流すことにムカつきながらも、やらないと痛いことは既に経験済だから、素直に息を吐く。
まあ、やったところで痛いし気持ち悪いし最悪なんだけど。
「よし、もういいかな？
はい、頑張った頑張った。」
着ていた物を戻され、成亮さんが頭を撫でる。
頭を撫でられるのは好きだけど、完全に子供扱いだ。
「子供じゃないもん。」
「なら、喉スプレーしよっか。」
今日2つ目の墓穴を掘ってしまった。
頭の良い成亮さんには、中々勝てない。
「一瞬だから。」
成亮さんが、舌を押さえるヤツを使って口をこじ開け、その一瞬にシュッとスプレーする。
沁みて痛いし、薬は苦いしで最悪だ。
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かな - このお話大好きです！更新まってます！ (2019年3月15日 20時) (
レス) id: 370aedeca5 (このIDを非表示/違反報告)
まさ - 更新楽しみにしてます！ (2018年12月30日 11時) (レス) id: 1a9a4a3f85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませて頂いております。リクエストなのですが、主人公ちゃんが体調を崩してしまったけど、それを隠してシゲと外に出かけてその出かけた先で主人公ちゃんが倒れてしまうようなお話が見たいです！ (2018年11月20日 7時) (レス) id: d682aba4cc (このIDを非表示/違反報告)
はるあ(プロフ) - 増田くんお医者さんバージョンも見たいです！ (2018年11月12日 11時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
gaku2010aya(プロフ) - はじめましてです。いつも楽しく読んでます。もしよければ、ゆうくんが体調を崩して入院してしまうお話が読みたいです。よろしくお願いします (2018年11月11日 23時) (レス) id: 745be5a5f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキ | 作成日時：2018年11月4日 10時
