風邪5 ページ5
成亮Side
持ってきた耳式の体温計でAの体温を測る。
母子揃って熱を測ることさえ嫌がるウチでは必需品だ。
体温計が鳴って表示を確認すれば、39.5℃と表示されている。
「熱、だいぶ高いよ。」
「そんなに高い感じしないもん。」
これで高い感じがしないのら、そっちの方がマズいだろ。
「39.5℃だけど？」
「…平熱高いもん」
さすがに本人も無理がある言い訳だと思っているのか、こっちを見ないで呟いた。
というか、これが平熱だったら人間じゃない。
「喉も診るから、口開けて。」
「別になんともない。」
「なんともないかは、俺が確かめるから。」
それでも開ける気配が無かったから、ムリヤリ口の隙間に舌圧子を滑り込ませて喉を診た。
「診ていいなんて言ってない」
熱のせいか少し幼くなっているAは、相手をするのが大変だけど、それ以上に可愛い。
世話の焼ける子ほど可愛いという理論だろうか。
「ごめんごめん。」
これ以上へそを曲げられたら困るので、とりあえず謝っておいた。
あとは、このあとどうするかだ。
この喉の腫れじゃ経口での解熱は難しいから、家で診るとなると座薬を頑張ってもらうことになる。
それから、喉のスプレーもした方がいいだろう。
どちらもAが大嫌いなことだ。
病院の方が処置は楽だけど、Aのことを考えたら出来るだけ家で看病してあげたい。
「A、これからなんだけど「イヤ！」
まだ何も言ってねーよ。
「病院はイヤだから」
「だから、病院じゃなくて家で看てあげる。」
「ほんと？」
Aがキラキラした笑顔になる。
「ただし、1つ条件がある。」
「なに？」
条件という言葉にAは先程までの笑顔を引っ込めた。
「熱冷ましの座薬と、喉の薬を頑張ること。
わかった？」
「…分かんない」
そう来たか。
だけどこっちだって、はいそうですかとはならない。
「分かんないなら家ではどうにもならないから、病院行かないとな。」
「けち、意地悪、しゃがれ、運動音痴」
最後のには、わりとガチで傷ついた。
Aは山下がカーテンの向こうにいるということを忘れているらしい。
カーテンの向こう側からは、山下が堪えきれず笑いを漏らしているのが聞こえた。
お前も笑ってんじゃねーよ。
「選択肢は2つ。どっちにするの？」
Aはしばらく考えたあと、家に帰ることを選んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 205人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かな - このお話大好きです！更新まってます！ (2019年3月15日 20時) (
レス) id: 370aedeca5 (このIDを非表示/違反報告)
まさ - 更新楽しみにしてます！ (2018年12月30日 11時) (レス) id: 1a9a4a3f85 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいか(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませて頂いております。リクエストなのですが、主人公ちゃんが体調を崩してしまったけど、それを隠してシゲと外に出かけてその出かけた先で主人公ちゃんが倒れてしまうようなお話が見たいです！ (2018年11月20日 7時) (レス) id: d682aba4cc (このIDを非表示/違反報告)
はるあ(プロフ) - 増田くんお医者さんバージョンも見たいです！ (2018年11月12日 11時) (レス) id: 6620f45835 (このIDを非表示/違反報告)
gaku2010aya(プロフ) - はじめましてです。いつも楽しく読んでます。もしよければ、ゆうくんが体調を崩して入院してしまうお話が読みたいです。よろしくお願いします (2018年11月11日 23時) (レス) id: 745be5a5f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アキ | 作成日時：2018年11月4日 10時
