寂しがり屋の独り言【王室教師ハイネ】 (ページ4)

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3話「楽しみたい」ページ4

「王室教師殿の、歓迎会ですか？」

晩餐時に、ハルは兄弟の皆に歓迎会をすることを手伝ってほしいと言われる。本当に仲良くなったと確信し、ハルは自分のことのように嬉しくなった。

「そそっ！ハルには、部屋の飾りつけを手伝ってほしいんだっ。いいかな？」

身長は自分より大きくても、手を合わせて頭を下げお願いする、唯一の弟のお願いをそう簡単には断れない。兄も、このようにと頭を下げて頼んでくれてる。

まだ、会ったことはないけど、いいだろうと思った。

「頭を上げてください。まだ、王室教師殿は目にしていませんが、兄弟に頼まれては仕方ないですね。

私にできることであれば、なんなりと仰ってください。」

「ハルありがとうッ！マジ天使！」

「こらリヒト！抱き着くんじゃないッ。」

「別に構いませんよ？ですが、天使は大袈裟です。私もリヒトくんと同じ、人間ですから。」

「よしよし。」とぐしゃぐしゃにならないよう、髪にそって抱き着いてきたリヒトを優しく撫でる。髪がサラサラのツヤツヤで、少しばかり羨ましく思う。

「夜に…レオンハルトも誘って、話し合うけど大丈夫…？」

「レオン兄様、いませんもんね。分かりました。」

コクりと頷きながら言うと、「ではお先に。失礼しました。」とハルはこの場を立ち去り、自分の部屋に戻った。

今は、ほろ苦く甘いミルクコーヒーの気分。自分持ちのコーヒー豆や器具を使って、ミルクコーヒーを用意する。

分厚い本のお供として、読みながらもコーヒーを飲んでいた。レオン兄様は、ミルクコーヒーもダメなのでしょうか？なんて、考えながら。

「こんなに美味しいのに、勿体ないですね…まぁ、レオン兄様ならと思うと、分からなくもないのですが。」

いっそ、彼の大好きなトルテと一緒に食べたら、大丈夫ではないかとも、いつしか別のことを考えてしまう。

本の内容が、頭に入りません。今日はやめましょう。パタンと本を閉じて、コーヒーと考えごとだけで、この時間を一人だけで楽しんだ。

「寂しいです…誰か、暇つぶしに。」

心の底からは、楽しむことはできなかったけど。