2話「凄い人ですね」 ページ3
「ありがとうな、ハル!今度また、馬に乗せてやる!」
「フフッ、楽しみにしていますね。私も、話せて楽しかったです。」
手を降りながら、レオンハルトは部屋を出たため、ハルも手を降りながらそのいく姿を見えなくなるまで見ていた。
パタン、と音が聞こえてレオンハルトがいなくなり、ハルは部屋で一人になる。
ハル以外、誰もいなくなり周りの音しか聞こえなくなる。手元の紅茶を一口飲んで、小さく呟いた。
「寂しい、ですね…」
誰か、暇つぶしにいらしてくれればいいんですが。言葉通り、寂しい顔をしたハルはその場から動くことはなく、また一口と紅茶を優雅に飲んでいた。
「あっ…レオン兄様はどうしたんですか?」
時間が過ぎて、もう夜遅く。晩餐の時刻に、ハルは部屋へといったが、兄や妹がいるなかレオンハルトだけの姿はなかった。
「う〜ん、新しい王室教師と、色々あってね〜。」
苦い顔をして教えてくれたのが第五王子リヒト。女性のような長いサラサラの髪を弄りながら教えたリヒトに、ハルは「そうですか…」と呟き隣の椅子に座った。
「レオンハルトから聞いたぞ。面談のあと、レオンハルトの愚痴を聞いたとな。いつも有難う。」
レオンハルトと同じように、お礼をしたのが第三王子のブルーノ。癖毛の茶髪に眼鏡をかけ、インテリとした感じがする。
「でも…遅い。」
レオンハルトの心配をしたらしい彼は第二王子のカイ。その目つきは鋭いが、本当はとても優しく口下手なだけ。付き合いの長いハル達には、それは分かっている。
「では、その王室教師殿は?」
首をかしげて聞く彼女に、3人は目を合わしてはリヒトが代表でさっきと同じように教えてくれた。
「実はね…」
開いた口から聞いた出来事に、ハルはさすがに苦笑せざるをおえなかった。
どうやら、面談に行ったテストは一点でそれは名前を書いたお情け。この点数はヤバイと言った王室教師の言葉に、レオンハルトは拗ねて馬に乗り逃げてしまった。と。
「レオン兄様らしいのか、らしくないかと…ただ、落ち込みが激しいのはキズですね。」
「センセーも、追いかけてからそれからなんだよね。しかも、3階から飛び降りるんだよ!?」
「運動神経がよくて、羨ましいです。」
「よいレベルじゃないって!」
ついに立ち上がったリヒトに、カイは「落ち着いて…」と言う。「はぁ…」と溜め息をつきながら座るリヒトの様子を見たハルは、やっぱり王室教師殿は凄い人とまた思った。
だって、彼らも手懐けているのだから。
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猫夜桜((シラキ(プロフ) - あ……………これすき← (2018年8月19日 18時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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