80話;完璧スマート ページ20
どうやら泳ぐ鰯の群れに色んな色のライトを当てて曲を流すらしい。
『へぇ、鰯が踊っている様に見えるし
綺麗だろうからよく考えたなぁ』
そう言い、彼は既に並んでる客達の
後ろに立った、俺もその右側に立った。
そして始まり、曲は流れた…。
[開け放たれた この部屋には…]
『俺の曲じゃねぇか…』
そうA君は溜め息混じりに
呆れた様に呟いた。
確かこれは有名な…【海の幽霊】だったか?
「それだけ良い曲ってことでしょう?」
俺もこの曲が好きだ、
何回も寝る前によく聞いた。
…彼の声を聞きながら眠るのは最高だった。
『確かに水族館でこの曲はセンスが良い、
…けど何か複雑だ』
そう言いつつも光り輝く鰯の大群を見る彼の顔は、淡く青く光りとても絵になっていた、横顔も美しい…。
俺もしばらくその鰯達を見ていた、
が、
ギュ
「!?!?」
突然彼が俺の左手を握った。
「(あ!あの!Aさん!?)」
声に出そうとしたが出ず、彼はずっと
真顔で鰯達を見たままだった。
「(あ…格好良い…)」
その無表情ですらも格好良く見えてしまい、
鰯の事など忘れてしまった。
[風薫る砂浜で…]
もう曲もショーも終わってしまった、
客達はゾロゾロとまばらに別れていくのと
同時に繋がれた手も離れてしまった。
「(ぁ…)」
『もうこんな時間か、そろそろ帰ろう、
次はイルカやアシカが居る所が良いな』
そんな事言いながら二歩先に歩き、
俺の方を振り返る彼に、あぁまた…。
「(顔が熱い…)」
心臓が高鳴るのをどうにか抑えつけ、
出口に向かって二人で歩いた。
俺達はまた、最初の待ち合わせ場所に
帰って来た、まだ空は青色だった。
『次はもう少し長くても良いか?』
「はい、是非」
『はいコレ』
「え?」
帰りに買っていた土産を俺に握らせて(最後に手をポンってやるのは照れた)じゃと挨拶をして早歩きで行ってしまった、
俺に何も言わせずに。
「…………なんてスマートなんだ…………」
貰った土産袋を両手にポツンと立ち尽くす俺はこの人混みの中に紛れていて然程目立たなかったのが幸いだった。
相変わらずの彼の格好良さ
もう顔の熱さに慣れてしまった、
…いや、やはり慣れないな…。
251人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Tyrant(タイラント)(プロフ) - Jさん» は・や・い!流石ッスわ…!頑張ります…! (2020年3月30日 17時) (レス) id: 8824dda887 (このIDを非表示/違反報告)
J(プロフ) - いえいえ!では、頑張ってください!今線画の構図が出来たとこです! (2020年3月30日 17時) (レス) id: 9ce90acf92 (このIDを非表示/違反報告)
Tyrant(タイラント)(プロフ) - Jさん» あとありがとうございますっ!!!!そのコメントがっっっ……あっ(死にすぎる) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 8824dda887 (このIDを非表示/違反報告)
Tyrant(タイラント)(プロフ) - とりま、更新してきますわ、グッバイ (2020年3月30日 17時) (レス) id: 8824dda887 (このIDを非表示/違反報告)
J(プロフ) - それでも、自分は小説が書けないので、やっぱりTyrantさんを尊敬します!大好きです!(*´∇`*) (2020年3月30日 17時) (レス) id: 9ce90acf92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Tyrant(タイラント) | 作成日時:2020年3月24日 23時