47話;彼が目覚める ページ17
いや、彼なら確実に褒めてくれるだろう、此方側の変化はほんの些細な事でも気が付いてくれる彼なら。
『(お、沖矢さん煙草吸ってる？意外だな)』
『(お酒飲んでるのか？
残り香がした…気がする)』
『(沖矢さんもしかして昨日爪磨いた？
綺麗になってたから)』
『(ん？今日柔軟剤変えたか？)』
今までもこんな風に少しの変化に気が付いてくれて楽しい会話を作ってくれた、きっと俺の体調の変化にも気が付いて褒めてくれるだろう。
…それでも彼は目覚めなかった。
「…A君…」
手を握って彼の名前を呟くだけの見舞い、
彼は眠ったまま目覚める様子は無い、
あの時、頭を打ったのが悪くて
一時的に昏睡状態と医者は言っていた、
このまま眠り続けば命に関わるとも…。
「(…すまない、すまないA君…)」
泣きそうになってしまうのを堪えてただ
手を握る、彼が目覚めるのを祈りながら。
_________________________________________
彼が目覚めた、五日ぶりに。
彼からのメールを見て飛び起きてしまう程驚いてベッドから転げ落ちてしまったがそんな事はどうでもいい、
彼が！目覚めた！
とにかく会いたくて車を走らせた、
病院内でも早歩きで彼の病室へ。
「っAさん！目が覚めたんですね！」
『はやくないか？』
姿はまだ包帯だらけの体だが目を開いて俺に話し掛けてくれる、あの格好良い声で、それが嬉しくて嬉しくて声が弾んでしまう。
「早く貴方に会いたくて…」
そう言うと彼は真顔で黙り込んでしまった、
…気持ち悪かっただろうか？
「それより、Aさん…お体は…？」
『うまくしゃべれないだけ、とくにない』
うまく、喋れない…？
つまり、俺は君の、
あの美しい声を奪ったという事か…？
「…そうですか…」
せっかく彼が起きてくれたと言うのに、
あぁダメだ、気分が落ち込んでしまう…。
「…大切な声なのに…手も…」
声が出なくなったのなら、歌えない、
手が動かせないのなら、小説は書けない。
俺は、彼の大切な物を
両方奪ってしまった。
「ごめんなさい…ごめんなさい…！」
『おきやさん』
「僕が…奪ってしまって…！」
『おきやさん』
何も言われたくなかった、
何か言われるのが怖くて遮った。
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ポテト - 主人公が赤井さんに起こる場面のセリフ「おきやぁ！」が「おぎゃぁ！」に見えてしまって吹きました笑 小説面白いです！頑張ってください！ (2023年1月26日 20時) (
レス) @page18 id: 1c2bcbd3b2 (このIDを非表示/違反報告)
Tyrant(タイラント)(プロフ) - みねさん» えー、一分曲だと思うんですけど、【すりぃ】さんのですよ？後ありがとうございます！ (2021年2月27日 11時) (レス) id: 8824dda887 (このIDを非表示/違反報告)
みね - あの〜、今更ですけどエゴロックって3分ぐらいあると思います。後最高でした！ (2021年2月26日 7時) (レス) id: 020e8c48d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Tyrant(タイラント) | 作成日時：2020年3月23日 23時
