第32話 イタズラ ページ32
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１日目、終了。
私のチームの結果はさておき、夜久くん・鉄くん、それぞれのチームは圧勝の末、明日を迎える。
さすが、バレー部。
同じ人間とは思えないような身体能力を、彼らは持ち合わせている。
そう、本気で思った。
それと、鉄くんがかっこよすぎ&モテすぎてて、ちょっと妬いたのは私だけの秘密。
「は〜い、次のクラスどうぞ〜」
「よしみんな、適当に好きに並べ。さっさと撮るぞ」
そして今、極寒の体育館でクラス写真の撮影会が催されています。
なぜ今なのか。
明日、全部終わってからの方が、きっと晴れ晴れした良い表情が撮れると思います。
「Aさん、もう一つ後ろいける？」
「ここでいい？」
「OK。ありがとう」
男子の方の委員長が先導して、配置を決める。
指定された、一番後ろ、一番右の端っこに、そっと収まる。
すぐ側に、大好きな彼の体温を感じながら。
「俺の横は、Aの指定席だから」
鉄くんが、耳元でそんなことを言うから、私の頬は、とっても簡単に染まった。
これから撮られるってのに、余計なこと言わないで。
「じゃあ一回試しに撮りますね〜」
カメラマンのおじさんが声を張り上げる。
一瞬、空気がピリついたその隙に、今度は見えない角度で手を繋いできた。
鉄くんの予想外の行動に、身体がビクッと跳ねる。
すると『端っこの子、じっとしててね』と、軽く注意された。
横目で睨むと、鉄くんは楽しそうに口角を上げた。
口パクで、『カワイイ』って言いながら。
ああもう、なにそれ。
胸が甘くきゅうっと痛む。
ずるいよ。
ムカつくのに、怒れないし、というか、ドキドキしてる自分がいた。
悔しいけど、私、黒尾鉄朗に心底惚れちゃってる。
「写真撮影の時はじっとしとかなきゃ」
「誰のせいだと思ってるの」
「ん？何のこと？」
「アナタのことです」
「ふはっ、ごめんごめん」
「も〜、笑い事じゃないの」
「だってAが可愛いから」
「あ！またそれ。“可愛い”って言ったら許されると思ってるしでしょ？」
「バレてた？でも俺、本気で思ってるよ。俺の可愛い可愛い彼女が可愛すぎて……って、顔真っ赤」
「も、もうわかったから、しゃべんないで」
「ふっ、Aってホント…」
「……なに？」
「可愛いよな」
無理。
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作者名：pomme | 作成日時：2022年5月20日 7時
