第25話 夜久さんの気持ち�� ページ25
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部活以外でバレーすんの、やっぱ気分違うな。
体育館、壇上のホワイトボードに、でかでかと貼り出されたトーナメント表を見て、そんなことを思った。
今日から二日間かけて、開催されるクラスマッチ。
しかも種目はバレーボールときてる。
俺らのための時間じゃん。そう思わざるを得ないよな。
「次、いつ？」
「けっこう後」
「んじゃあ俺、散歩でもしてようかな」
「始まるまでには戻って来いよ？夜久いねぇと負け確だから」
「わかってるって」
プレッシャーをかけられるのは好きじゃない。ふつうにムカつくから。
まあいいや。
勝てばいいだけの話だし。
うーんと伸びをして歩き出したそのとき、見知った背中を見つけた。
「よっ、Aさん。元気？」
「あぁ、夜久くん、お久しぶり」
小さく微笑むAさんに、ほんの少し違和感を覚えた。
心ここに在らずというか、なんかぽやぽやしてる気がする。
「そういえば、黒尾と…どうだった？」
そう尋ねると、Aさんは肩をピクリと震わせた。
「えっ、うん。よかった。た、楽しかった」
「たどたどしくない？」
思わず吹き出す。
その反応、絶対何かあったってことじゃん。
なぁにそれ。超気になんだけど。
『もしかして、告白でもされた？』と、冗談混じりに言うと、Aさんは頬を染めて途端に慌て出した。
「えっ、ホント？」
「そ、そうなの。それで、黒尾くんとお付き合いすることになった……よ」
「ガチ？マジ？え〜〜！マジ？なんか俺も嬉しい」
「や、夜久くん、ちょっ、ちょっと静かに！」
Aさんがわたわたしながら、しーっと人差し指を口元に当てて、若干俺を睨む。
慌てて口をつぐんだ。
めっちゃ見られてたわ。ウケる。
俺らを見てる何人かと目が合った。何となく会釈したら、『何してんの』って、Aさんに怒られた。
「ね、黒尾のどこが好きなの」
「夜久くんには教えない」
そっぽを向くAさんの頬が、ほんのり赤く染まっている。
なぁ、黒尾。
お前だけズルくない？
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作者名：pomme | 作成日時：2022年5月20日 7時
