触れて確かめて２【豪炎寺修也】 (ページ8)

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第58話　ほんのり甘い朝ページ8

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朝ごはんに手をつけず、さっきから上の空の豪炎寺くん。

私の夢の話が面白くなかったとか…？

だったら、とっても申し訳ないなぁと思いつつ、二つ目のクロワッサンを口に運んだ。

「豪炎寺くん」

声をかけると、ぼんやりした声で返事をした。

大丈夫かなぁ。

こんなにぼーっとしてるとこ滅多に見ないかも。

「修也」

意を決して名前で呼ぶ。

すると豪炎寺くんは目を見開いて、大袈裟に驚いた。

「えっ、どうしたの？」

急に言わない方がよかった…？

予想外の反応にドギマギする。

「……かった」

「え？」

小さな声で何か言った豪炎寺くんは、さっきとはうって変わって、嬉しそうに口角を上げた。

そして真っ直ぐに私を見つめて、照れたように笑った。

「名前で呼ばれたかったんだ。Aに」

恥ずかしそうに頭をかいて、『俺も言うつもりだったんだけどな』って眉を下げた。

「そうだったの？」

『ああ』と、照れてる様子が可愛くて、私の頬も緩んだ。

じゃあさっそく…的な感じで、『おはよう。修也』って笑いかけてみた。

ちょっと照れる。

「お、おはよう。A」

2人の間に流れる、思わずそわそわしちゃうような沈黙。

暖かくて、ほんのり甘い不思議な時間。

顔を合わせて、お互いに頬を染めたままクスリと笑った。