触れて確かめて２【豪炎寺修也】 (ページ7)

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第57話　してほしいことページ7

◆

「変な夢みてさぁ。豪炎寺くんがお殿様で、私は豪炎寺くんを御守りする家臣なの。でね、いっぱい敵が来たりするから大変で…」

もううんざりというように眉間に皺を寄せるA。

夢の話だよな…？と、一瞬混乱した。

夢にそこまで感情移入するの、Aくらいだぞ？

「まあ、どうやったって豪炎寺くんを守っちゃうんだけど…」

それから、ハムをかじりながら『へへへ』とおどけた。

うん。そうかそうか。楽しそうで何よりだ。

「Aに守られるのも悪くないな」

「でしょ？」

そう、俺が思ってた以上に彼女はマイペースだった。

だからなのか、それとも別の理由があるのか。

Aにも何か思うところがあるのか。何なのか。

まあうん。何が言いたいかというとな、A。

俺は……名前で呼ばれたい。

豪炎寺くんでも、シュウくんでもなく、“修也”と。

やっと想いを伝えて、そして今。変わらず、豪炎寺くんと俺を呼んでニコニコ笑う君。

そんな君に未だに言えないでいる、たった一言。

“名前で呼んでくれないか”

いや、言えないも何も、ごく最近のはなしだし、仕方ないのか？

仕方なくないよな。

だがただ一つ言えるのは、時間が経てば経つほどこういうのは言いにくくなるということ。

今更呼び名変えるか？って頃に言うのはさすがに恥ずかしい。誰だってきっとそうだ。

ああ、我ながら女々しすぎる。

それに若干引いている。