第95話 妬く ページ45
◆◆◆◆
「どっちがいいと思います？」
「ん〜、そうですね〜。オールシーズンで考えるとこっちですかね〜。でも、お姉さんの雰囲気的にこっちかなぁ」
「ですよね！私も同じこと思ってて。んー、悩むー」
「これとか、どうです？」
「えっ！可愛い！それでも良いかも……」
なあ、A。俺は何を見せられているんだ？
一緒に住み始める記念にと、新しいベッドを買いに行った家具屋。
ベッドは早々に決まった。そこまでは良かったんだが……。
ついでに新しいラグも、と選び始めた矢先、男性店員がAの横に陣取って、あれこれ説明し始めた。
それにしても、店員さん。接客にしては距離が近くないか？そんなに近づく必要ないだろ？
正直、気分が悪い。
接客だとわかっているが……。ああ、くそ。何なんだ。
その時、カタログをめくろうとしたAの手に、偶然、店員さんの手が触れた。
「あっ、すみません」
店員さんがチラリと俺の方を見た。
すみませんじゃ済まないだろ。あ？お前？正気か？
自分でもわかっているんだ。店員に嫉妬するなんてしょうもないって。
でもなあ、これは我慢ならなくないか？
.
耐えかねて店の外で待っていると、割とすぐにAが嬉しそうな顔をしながら出てきた。
「見てこれ！さっきのお兄さんが私たちにって……」
そして、ガサガサと紙袋から何かを取り出す。
「コースター？」
「うん！普段はあげてないらしいんだけど、お似合いのカップルだから、サービスですって。あとね、お兄さんが、『彼氏さんかっこいいですね』って言ってたよ？」
え？と思って、店の中を覗くと、向こう側から店員さんが笑顔で俺に会釈をした。
「あっ、そうか。うん、ありがたいな、それは」
え……恥ずかし……俺。何、勝手に嫉妬して……。
「どうかした？大丈夫？」
「ああ、うん。大丈夫。平気だ」
いたたまれなくなって、Aの手を引いてそそくさとその場を後にした。
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pomme(プロフ) - 鈴松しおん@誤字り姫さん» ありがとうございます！！そんなふうに言っていただけるなんて……！とても嬉しいです(;o;) (2020年12月24日 18時) (
レス) id: 79d93abb26 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫(プロフ) - 完結お疲れ様です、そしてありがとうございます！見させていただいてる身としては本当に楽しかったです…! (2020年12月24日 12時) (レス) id: 260ef51d68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2020年10月25日 14時
