第90話 大切なこと ページ40
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修也は、“私にだけ教える”と言って、私の左手を取り、右手の指を絡めた。
指先が少し冷たい。
人差し指で、トントンと手の甲を叩きながら、私の方を向く。
「A」
真っ直ぐな、射抜かれるような瞳。ドキドキと心臓が跳ねた。
「何？」
不思議な緊張感に、声が震えた。
「留学は、まあ、それなりに楽しかったんだ」
修也が私の頭をさらりとなでて、話し始めた。
「だけどな、圧倒的に足りないものがあったんだ。何か、わかるか？」
「んー、何？ご飯が合わないとか？」
「ふっ。そうじゃない」
「えーじゃあ、何だろ。物価が違うとか？」
修也は、『うーん』と悩む私の頬に手を添えた。
そして、耳元で、『Aだ』って呟いた。
その瞬間、ボンと顔に熱が集まった。
私……？
「大切なことっていうのはな、A？」
修也が親指で熱くなった頬をなでる。
「Aの側にいることなんだ」
そう言って、ふわりと笑う修也。その姿が、じわりと滲んだ。
「あ、ありがとう」
それ以上言うと涙が溢れそうで。それしか言えなかった。
嬉しくて、胸が一杯で、苦しくて、でも幸せで。
どうしようもないくらい、愛おしかった。
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pomme(プロフ) - 鈴松しおん@誤字り姫さん» ありがとうございます！！そんなふうに言っていただけるなんて……！とても嬉しいです(;o;) (2020年12月24日 18時) (
レス) id: 79d93abb26 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫(プロフ) - 完結お疲れ様です、そしてありがとうございます！見させていただいてる身としては本当に楽しかったです…! (2020年12月24日 12時) (レス) id: 260ef51d68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2020年10月25日 14時
