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第97話 昼間の東京 ページ48








「暑いね…」


「…暑いな」


それでも、繋いだ手は離さなかった。


お互いの体温が溶け合ってひとつになるような、そんな感じ。

くすぐったくて、胸の奥がぎゅっとした。



日傘と重なる二つの影がほんの少し揺らぐ。





「西谷先輩、あんなこと言うタイプだっけ?」


「たしかに」


言わなそうだけど、相手がAだからじゃないのか?と思ったりした。

何となく、甘やかしたくなる雰囲気があるから。Aって。

そう感じているのが俺の他にもいるとしたら、ちょっとムカつくけど。


俺だけでいいし。


独占欲。

俺にもそういうもんがあるらしい。










「そういえば、こうやって二人で歩くの、前の合宿のとき思い出すよな」


確信犯的にそのことに触れると、予想通り、Aは頬を染めた。


わかりやすいな、相変わらず。

小さく笑うと、『仕方ないじゃん』と、Aはもっと顔を赤らめた。


ああ、また、そういう顔するから。

そういうのが煽ってるって、そろそろ気づけ。


鈍感。


でもそこが好き。Aらしいところが。



昼間の東京は、夜とはまた違う景色が広がる。




「前のときとあんまり時間経ってないのに、何か私、前より飛雄くんと近づけた気がしてる」


Aが遠くの空を見上げたあと、俺と目を合わせた。



不意に心臓がドクンと跳ねた。


「…俺も、そんな気がしてた」


自分でも驚くほど、柔らかい声が漏れる。

頬が緩んでドキドキして、体が熱くなった。


初すぎねぇか、俺。

大丈夫か?



何かダサい。

けど、Aの目には、カッコよく映っといてほしい。


だから、君の髪の毛をさらりと撫でて誤魔化した。



なのにAは、『飛雄くん、好きだよ』とか言って、また俺を困らせる。


今やっと治まった熱がぶり返すのはとっても容易い。


『…お、俺も』とたどたどしく答えた俺、全然カッコよくない。


“俺は、愛してる”的な、甘いセリフ言うつもりだったのに、そんなもん無理だった。

何かもう、好きだけで手一杯。

それ以上を考えると、脳みそ爆発する。





「あっ、ねぇ今照れた?」


「は?照れてねぇ」


精いっぱいの強がり。


するとAは、『え〜うそ。絶対照れたと思ったんだけどなぁ』と頬をぷっくり膨らませた。





大丈夫、ちゃんと照れてるから。

カッコ悪いから言わねぇけど。


そう思いながら、Aの頭をくしゃりと撫でて、その頬にキスをした。

第98話 風物詩だね→←第96話 ピュアな子



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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜!!🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます!!!黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう!もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜! (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう!好き!コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に!愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます! (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます!!!嬉しすぎて、もう泣いちゃう!!素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pomme | 作成日時:2022年1月20日 23時

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