第92話 ラブソング ページ43
◆
自分でも驚くほど、自然に体が動いた。
目の前でふらりとよろける君に、手を貸さずにはいられなかった。
涙を拭うAの隣に腰掛ける。
退屈になった左手を、その柔い右手に重ねて、指を絡めた。
そんなことで未だに頬を染める君が好き。恥ずかし気もなく、そんなことを思った。
Aは何度も、謝罪の言葉を口にした。そして遠慮がちに、黒尾さんとのことも。
概ねそんなところだろうと予想はしていたけれど、いざ耳にすると、何かこう、腹立つ。
まあな、強めに拒否しなかったAもAだけどな。
ぽろりと溢すと、Aは心の底から申し訳なさそうに頭を下げた。
仕方ないから許す。
うん。
それより、Aに伝えたいことがたくさんあるんだ。
「A」
「ん？」
「俺あのとき、Aが幸せならそれでいいみたいなこと、言っただろ？けど俺、そんなもんやっぱ全然守れねぇ」
“別れよう”と言っといて、離れられないのは俺の方だった。
やめようと思っても、この目はAを捉えて離さないし、いざ目の間にすると無性に抱きしめたくなったりした。
バカみてぇに嫉妬して、傷つきたくなくて、遠ざけてもなお、俺の心ん中にはAがいた。
好きで好きでたまらない。
そんな嘘みたいなことを、本気で思ってるんだ。
「……だから、俺がAを幸せにって…」
全部言う前に、すすり泣く声に遮られる。
短時間で何回泣くんだテメェは。
反対の手で拭ってやると、Aの目からまた、ポロポロと涙が出て溢れた。
「ふっ、泣くなよ」
「な、泣いてない」
「死ぬほど泣いてんじゃねぇか。まぁいいや。……A、俺はAとずっと一緒にいたいんだ」
ラブソングみたいな恥ずかしいセリフ。こんなもん、誰も使わねぇだろって思ってた。
ほら、俺も勇気出したんだから、お前も泣くなって。
てか返事しろ、返事。
「……わ、わたしも」
「ふっ、そっか。そうだよな」
自然と緩む頬をグッと引き締めながら、Aの頬を両手で包んで、まぶたにキスを落とした。
するとびっくりしたのか、途端に涙が止まった。
クスリと笑うと、案の定、君は頬を染める。
やわらかに、やさしく。
何度も唇を重ねた。
遠慮がちに首の後ろに手を回す、そんな仕草が、たまらなく愛おしい。
好きすぎてクソムカつく。
ああ、もう。好きだ。Aが好き。
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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜！！🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (
レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます！！！黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう！もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜！ (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう！好き！コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に！愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます！ (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます！！！嬉しすぎて、もう泣いちゃう！！素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2022年1月20日 23時
