第83話 ていたらく ページ34
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新しい速攻、うまくいってるかな。
全てのスケジュールが終わって、仁花ちゃんに『一緒にどう？』と誘われた矢先、潔子さんから別のお仕事を頼まれた。
もう、日も暮れようかという、夏の夕刻。
生ぬるい風にも蝉の声にも、もう飽きた。
乾き切ったユニフォームやタオルをその場でたたみ、カゴに積んだ。
一人きりだから、やけに周りの音がよく聞こえる。だからなのか、少し寂しくなった。
黒地にパッキリとしたオレンジ色の見慣れたそれ。
目に入る“9”という数字に、思わず胸がぎゅうっと軋んだ。
たかが数字。それなのに、いちいち感傷的になってしまう自分がとても情けなくて惨めに思えた。
そんな気持ちをかき消すみたいに、荒々しい手つきでそれをたたむ。
虚しくて仕方がなくて、泣きたくなる。
ため息を吐くと何かが逃げていく気がしたから、お腹に力を入れて、深く息を吸った。
そのときだった。
後ろに誰かの気配を感じた。
誰だろう。こんな時に。
ゆっくりと振り向くと、その人と目が合った。
その瞬間、ハッと息を呑んだ。
冷たい眼差しが、私を真っ直ぐに捉える。
私の大好きな、優しくてイジワルなあの瞳は、そこにはなくて。
胸がしきりに音を立てた。
「今、いいか？」
決して明るくない声が、沈黙を破った。
．
謝るなら、今しかない。
そんな気がした。
コクリと喉を鳴らして、目の前に立つ君を視界に収める。
「あのね…！」
そう放った私の声と、私の名前を呼ぶ君の声が重なる。
何となく口をつぐんだ。
そっちから来てくれたのに、私が先に何か言うのも変な気がして。
だから、“お先にどうぞ”と目で促した。
一呼吸置いて、君は口を開いた。
その声を拾うまでの、たった数秒。心臓がバクバクして、息苦しかった。
もしかして、君の方から仲直りしよう的なこと、言ってくれたりなんかしちゃったりして…。
とか、自分に降りかかる全てのことが、受動的に上手くいくと思ってた私は正真正銘のバカだった。
甘えるにも程があるって誰か教えといてよ。
「A」
張り詰めた空気を静かに割る、冷たい声。
「……ん？」
できるだけ、平静を装って。
小首をかしげながら、次の言葉を待つ。
そして君は言った。
「別れよう」
冷徹で、他の何も寄せ付けない声色。それは確かに、私の大好きな声だった。
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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜！！🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (
レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます！！！黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう！もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜！ (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう！好き！コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に！愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます！ (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます！！！嬉しすぎて、もう泣いちゃう！！素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2022年1月20日 23時
