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第76話 とめどなく ページ27







梟谷との対戦が終わるとすぐに始まる、坂道ダッシュ。


猛暑の中走らせるとか、アホじゃねぇのかと思う。

死人出るだろこれ。



キッツい罰ゲームから解放されたところで、揃いも揃って地面に体を投げ出した。


そいつらを横目に、そそくさと体育館横の日陰を狙って少し走る。




定位置を見つけたところで、ひんやりしたコンクリートの壁に背中を預けて、たった一人天を仰いだ。


……Aに会いてぇ。



顔見て、それからアイツの頭をわしゃわしゃ撫でて。それで、困ったAの頬に軽く口づけたり…とか。

きっとAはすぐに照れる。そこに追い討ちをかけるように、らしくねぇ言葉をたくさん降らせてさらに困らせたい…とか。



たった今終わった試合の反省はそこそこに、そんなことばかり考えてしまう。

あれ、俺、本当にどうかしてる。


目を瞑ると、真っ暗になった視界の先に、Aの笑顔が見えた気がした。



もはや幻覚まで愛おしい。

Aの全てが愛おしくて好きで好きでたまらない。




君に触れて、やわらかな愛情をこの手で確かめたい。


そして俺は飽きもせず、そのぬくもりを恋い慕う。




なぜかこのタイミングで、とめどなく溢れてくる想いをグッと堪えるように、めちゃくちゃ歯を食いしばった。

じゃないと、公然と愛してるとか叫んでしまいそうだったから。





そのとき、誰かが俺の頬をつついた。




「……飛雄くん。お疲れさま」



「えっ、ああ、Aか」


壮絶な歯食いしばりタイム。それから、唐突な“飛雄くん”呼びに、ハッと目を開けた。



黙ったままその瞳を見つめた。その、たった3秒くらいの時間が永遠に感じられた。




「周りに誰もいないから呼んでみたんだけど。ダメだった?」


眉を八の字にして首を傾げるA。


“良すぎる”と言いたいところを飲み込んで、『ダメじゃねぇ』と返すと、Aは笑った。


それすら、末期の俺にとっては十分な着火剤だ。

やけに火照る体は、自分のじゃないみたいでふわふわする。

心臓が死ぬほど痛ぇ。





「次は勝てるといいよね。坂道ダッシュほんとキツそうだもん」


「キッツいぞ。Aも一緒に走るか?」


「やだよ」


「ふっ、だろうな。あぁ、そういえば、一人でドリンク作ってたのか?」


「えっ、ああ…、…うん。まあそんな感じ」


その返事が、何かを濁したように聞こえたのは、たぶん気のせいだろう。


暑いし、Aも疲れてるよな。そうだよな。

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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜!!🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます!!!黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう!もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜! (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう!好き!コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に!愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます! (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます!!!嬉しすぎて、もう泣いちゃう!!素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pomme | 作成日時:2022年1月20日 23時

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