第50話 とある事件 ページ1
.
事件は起きた。
それは、私がビブス畳み作業を終えたあと、体育館に戻ってすぐのことだった。
旭さんと日向が思いっきりぶつかった。
キャプテンが上げた、少し乱れたボール。
旭さんのボールだろうと誰もが確信した矢先、日向がそこに、まるで吸い込まれるようにジャンプした。
「あっ」
「うっそ」
思わず隣にいた菅原先輩と目を見合わせた。
先輩が口を大きく開けたまま、目をパチパチさせる。たぶん私も今、おんなじ顔してると思う。
驚きを隠せないギャラリーがふたりを見つめる中、顔を真っ青にした日向がぐらりと起き上がった。
そしてそのまま、『すみません!すみません!』って、何度も旭さんに向かって土下座した。
「俺は無傷だけど……」
「すみません!ボールだけ見てて…!すみません!」
オロオロしてる旭さんに構わず、日向はまだ土下座を続けてる。
そんな速い土下座、私見たことない。
ぶつかりたてでその元気まずヤバいし、てか日向、旭さん困惑してるよ。
と、心の中で念を込めながら、また菅原先輩と顔を見合わせた。
『日向ボゲッ!』って喚く、我が彼氏の声をBGMにしながら。
.
練習は再開した。
でも、さっきの一件のあとの、日向と影山くんのやりとりを受けて、チームの雰囲気はいつもと少し違っていた。
ふたりが何を話してたのか、わからない。けど、さっきよりもピリピリしてるの、私でもわかる。
潔子さんも、『日向と東峰がぶつかってから、全員に緊張が走ってる』って言った。
そう、緊張。
エースのボールを奪おうとした日向。
そんな日向にトスをあげるのは、セッターである、影山くん。
このふたりがいがみ合うのはいつものこと。
ただ、今日は何かが違うと感じているのは、きっと私だけじゃない。
チームのメンバーも、鵜飼コーチも、私と同じような違和感を覚えているはずで。
それを感じ、そしてチームの雰囲気の変化を感じたとき、私は少し怖くなった。
267人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜!!🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます!!!黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう!もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜! (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう!好き!コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に!愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます! (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます!!!嬉しすぎて、もう泣いちゃう!!素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:pomme | 作成日時:2022年1月20日 23時