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第57話 立ち止まる ページ8







信号が赤に変わる。


立ち止まると、不思議な緊張感がピリピリと肌を刺した。



このまま帰っていいわけがない……と、頭ではちゃんとわかってる。

打開する策があるかどうかは別として。



どうしようと思って、影山くんの表情を盗み見る。

すると不思議なことに、影山くんも同じタイミングで私を見てた。


目が合った途端に、張り詰めた空気がとろりと溶け出した。




「悪りぃ。困らせたいわけじゃなかったんだ。ただちょっと、いろいろ考えてた……」


影山くんが申し訳なさそうに頭をかく。


困ってなんかない。むしろ、自分の不甲斐なさとか、いろんなところが嫌になってたし。

そう言うと、影山くんは『そんなに気負うなよ』と笑った。






「影山くん、手貸して」


「手?」


意味がわからないといった様子で、影山くんは私の前に右手を差し出しす。



その手を取って、慣れない手つきで指を絡めた。



その瞬間、影山くんがハッと目を見開いて、パチパチさせた。



「そんな驚かなくてもいいじゃん」


「いや……何ていうか、珍しいな」


「私だって手繋ぎたくなるときくらいあるの」



恥ずかしくなって目を逸らすと、影山くんが小さく笑って、キュッと握り返してくれた。






信号が青に変わる。



「私ね、影山くんのために、できることがあるなら、やりたいと思ってるよ。あ、もちろん、私ができる範囲でね」


「例えば?」


「えっ、何これ、大喜利?」


「ふっ、違ぇよ。マジなやつ」


「え〜。ん〜、例えば……こうやって一緒に帰りながら、話聞くとか」


「いいな、それ。他には?」


「えっと……あれ、あの、ボール出したり?」


「それから?」


「それ…から……、え〜、何かなぁ。自分から言っといて全然思いつかない。ね、何かない?いいやつ」


『うーん』と唸りながら、顎に手をやる。



何かします宣言しといて何も浮かばないの、控えめに言ってヤバすぎる。






すると、影山くんがゆっくりと口を開いた。


「俺は……」


そして歩くスピードを緩めながら、私を見た。



「Aが側にいてくれるなら、どっちでもいい。…どう?できる範囲だろ?」



そう言って、頬を緩めた。



「あの、何?誰かに入れ知恵されたわけ……?」


今、心臓、ギュンッてなったんだけど。ギュンッて。

ねぇ、私さ、バカみたいにドキドキしてるんだけど。



「されてねぇよ。本音だ、本音」

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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜!!🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます!!!黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう!もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜! (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう!好き!コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に!愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます! (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます!!!嬉しすぎて、もう泣いちゃう!!素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pomme | 作成日時:2022年1月20日 23時

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