第63話 イカれてる ページ14
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バシンバシンとスイッチをOFFのところに合わせていく。
この音が嫌に大きくて、バネがやたら強い感じが大っ嫌いだ。
そこまで恐怖煽んなくて良いじゃんっていつも思う。
滑らかに動けよ、とも思う。
バシンと最後の電気を消すと、あたりは真っ暗になった。非常口の灯りだけがぼんやりと緑色に発光する。
「早く出よ。マジ、早急に」
「そんな怖くねぇだろ」
「こわいよ。ねぇ、何で平気なの」
真っ暗闇の中、ほとんどすがるようにして、影山くんの手とかシャツを握りしめた。
「A?」
「なに」
「私服も良いな」
「今言う?それ」
この人、ほんとにバカなんじゃないかと思う。
イカれてる。
「でも、なぁ……」
影山くんが、モヤッとした感じの声を出す。
あと20歩くらい歩けば外。
心の中で始めるカウントダウン。
20
19
「Aの普段と違うとこ、誰にも見せたくねぇ」
「えっ…?」
16
やばい、狂った。
「……俺だけのもんにしたい。そういうの知ってんの、俺だけで良くねぇか?」
「ばっか、何言ってんの」
薄暗くてよく見えないけど、影山くんが今、とっても意地悪な顔してるのが手に取るようにわかった。
左側の口角をクイっと上げて、私の反応を伺う、あの表情。
ちょうど、子どもが揶揄う相手を見つけて、嬉しそうにするように。
「A、俺は本気だ」
「わ、わかったから」
あれ、今何歩目だっけ。
そう思った次の瞬間には、まだまだ蝉が元気に鳴く、夕暮れの空が目の前に広がっていた。
「……どうだ?怖くなかっただろ」
「えっ……」
驚いて影山くんを見上げると、誇らしげに微笑みながら、私の頭をポンと優しく撫でた。
「何か…ありがと……」
途端に恥ずかしくなって、視線を落とす。
イカれてるとか思ってごめんね。まじで。ほんとに。
超絶わかりにくいけど、影山くんらしいその優しさが、胸を奥をぽかぽかと温めた。
「でも、さっき言ったこと嘘じゃねぇからな?そこは勘違いすんなよ」
「…別に嘘でもいいのに」
「良くねぇだろ」
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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜!!🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます!!!黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう!もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜! (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう!好き!コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に!愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます! (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます!!!嬉しすぎて、もう泣いちゃう!!素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pomme | 作成日時:2022年1月20日 23時