検索窓
今日:52 hit、昨日:85 hit、合計:23,166 hit

第56話 非常事態 ページ6







部活終わり、片付けもそこそこにAと話そうと思ってた俺の計画は、海によって易々と砕かれた。

よりにもよって、海に。



「海くん、そっち派なんだ。…私?もちろん、カレードリア推し」


「たしかに、それも捨てがたいな」


「ちょっと気取ってコーヒーだけっていうのもアリだよね」


「同感」


漏れ聞こえる会話。

おめーら、さっきから何の話してんだよ。どうでもいいから、手ぇ動かせ。


……と、思う俺の手も止まる。



ジィっと二人の様子を伺ってたとき、夜久の声で一気に現実に引き戻された。


「どうした黒尾」


「いんやぁ、別に」


俺の視線の先を辿ると、夜久は『ははーん。なるほどな』と、妙な顔で大きく頷いた。


「……薄々思ってたけど、やっぱ、Aってお前のコレ?」


「はぁ?ちげーし」


左手の小指を立て、わざとらしくニヤつく夜久の頭をペシンと叩く。


その勘の良さ、今だけは仕舞ってくんねぇか。



「なんだ。違うのか」


夜久はそう言うだけで、引き下がりもしなかった。


ありがとうやっくんその調子だ……と思ったのも束の間、夜久はまた、Aの方に視線を送った。



「てかさ、海があんなに女子と打ち解けてるの、俺、初めて見たかも」


さっきから話し込む二人を見て、夜久はしみじみと言う。



『そうか?』と返してこの場を鎮めようとした矢先、夜久が衝撃の一言を放った。





「……俺にもチャンスあるかな…」




……あ????


ちょっと待て、やっくん。今、何つった?

チャンスって何???マジ??えっ、早まんなって。




脳天を突き抜けるほどの嫌な予感。




「いやさ、前から思ってたんだけど、Aって良いよな。可愛いし、明るいし、愛想いいし」


やっくんの言葉がどんどんあらぬ方向へ向かってる。



「Aって今彼氏いんのか、お前知ってる?」



夜久の頬が、見たことないくらいピンクになってる。


わ〜、なにその顔。ねぇ、やっくん。冗談ヤメテ。



俺は心の中で、白目を剥いた。

第57話 したり顔→←第55話 やきもち



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (113 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
836人がお気に入り
設定タグ:黒尾鉄朗 , ハイキュー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:pomme | 作成日時:2024年2月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。