第52話 興味津々 ページ2
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黒尾くんから聞いていた事前情報によると、彼と黒尾くんは幼なじみであるらしかった。
そして、彼は決して悪い人ではないが、かなりクセのある人物でもあるらしい。
『要注意人物?』と尋ねると、黒尾くんは首を振って軽快に笑った。
『研磨は他人に興味ねーから大丈夫』って。
そう聞いていたから安心してたんだけど……。ねぇ、黒尾くん。
ちょっと…、いや、かなり話と違うかも。
彼、他人に興味ないんじゃなかったっけ……?
『先輩、動揺してますよね』と、煽るように言う彼は、どう見ても私に興味があるとしか思えなかった。
「こ、孤爪研磨くん」
「研磨でいいです」
「じゃあ、研磨くん。黒尾くんから聞いてた話と違うんだけど」
恐る恐る口にすると、研磨くんは『……クロは何て言ってましたか』と、訝しげに私を見下ろした。
私と彼の間を漂う、謎の緊張感に、思わずゴクリと唾を飲み込んだ。
有無を言わせぬような、予想外の研磨くんの迫力。
私はそれに、簡単に屈してしまいます。
「研磨くんは他人に興味ないって…」
そう言うと、研磨くんが口元を覆ってクスリと笑った。ような気がした。
「他人に興味ないのはホントです。…だけど一つ、語弊がある」
「えっ……?」
「先輩には興味が湧きました。…正確に言うと、先輩…だけには……」
「な、何で」
「別に。何となく。クロが仲良くしてるから」
それ以上でもそれ以下でもない。
特別な感情というよりは、純粋な探究心。
彼の冷めた口調から、そういうニュアンスを読み取った。
「黒尾くんのこと、信頼してるんだね」
「……さぁ。…で、結局、クロのこと好きなの?」
「ひ、ひみつ」
「……先輩、図星って、顔に書いてありますよ」
からかうようにククッと喉の奥で笑う研磨くんの声は、私の体温を容易く上昇させた。
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作者名:pomme | 作成日時:2024年2月25日 22時