第48話 独り占め ページ48
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そういう経緯でわたくし、AAは灰羽リエーフくんと共に練習を見守っています。
「……ていうか、灰羽リエーフくんは練習しなくていいの?」
たまらず隣の長身に畳み掛けると、『プハッ、フルネームで呼ばれるの、普通にウケるからやめてください』と、彼は楽しそうに笑った。
「どっちがいい?“灰羽”と“リエーフ”」
「もちろん、リエーフで」
「わかった、リエーフくんね」
私がそう呼ぶと、灰羽リエーフくん、もとい、リエーフくんはキラキラの笑顔を見せてくれた。
わかってはいたけど、笑うともっともーっと可愛いよね…君って。
「で、見てるだけでいいの?参加しないの?」
「俺はまだまだ初心者だから、みんなのプレーを見て、盗まなくちゃいけないんです。だから、たまにこうしてコートの外に出るんです」
リエーフくんは少し照れくさそうにそう言った。
照れより何より、先に浮かぶ私の疑問。
「待って。そ、そんなにおっきいのに初心者なの?」
「う、うるさいっす。Aさんにだけはいじられたくなかったのに…!」
わかりやすくシュンとするリエーフくんは、やっぱりこれでもかってくらい可愛らしい。
『ごめんねぇ』と謝りつつ、ニマニマしてると、真正面にとてつもない殺気を感じた。
恐る恐る顔を上げる。
すると、口元に引き攣ったような笑みを浮かべた黒尾くんが、真っ直ぐに私を見下ろしていた。
「“A”、集合」
「く、黒尾くん…、わっ、ちょっと待って」
「お前らは練習続けてろ。リエーフ、お前もさっさとコート入れ」
全てを言い切る前に私の手首をぎゅっと引っ張り、黒尾くんはスタスタと体育館の扉を開け、私も出たことを確認すると、バタンと早急に扉を閉めた。
黒尾くんの体を包むピンと張り詰めた緊張感に、冷や汗が滲んだ。
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pomme(プロフ) - 処刑人さん» ありがとうございます🫶🏻🧚🏻♀️🫶🏻 (2月24日 11時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - ちゅき♡ (2月24日 1時) (レス) @page48 id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます🙏🏻🥳 (12月25日 19時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - きゅんきゅんします💕続き楽しみにしております✨ (12月25日 5時) (レス) @page44 id: bad28e8810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pomme | 作成日時:2023年8月7日 23時