第47話 ぶっ飛び ページ47
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それは唐突だった。
黒尾くんが自分だけのペースで前に突き進みながら生きていることは承知していたけれど、それにしてもそれは唐突だった。
朝、教室に入ると、いつもは朝練終わりでギリギリに登校してくる君が、きちんと席に着いていた。
何か変。
私が彼女じゃなくなって、そう思うと思ったんだけど、そのときは何も言わなかった。
朝練無かったのかな〜くらいの楽観。
『おはよ』と短い挨拶をし、私も席に着く。
カバンの中身を机の中に仕舞って、とりあえず後ろを振り返った。
「朝練、無かったの?」
私が尋ねると、黒尾くん軽く欠伸をして、『Aに相談があんだけどさ…』と、肘をつきながら何とも言えない表情で私を見据えた。
「黒尾くんから相談?めずらしいね」
「そう。めずらしく、……Aにしか頼めない相談」
「なに、もったいぶってないで言いなよ」
トンっと人差し指で黒尾くんの手の甲を軽く叩く。
「A、マネージャー経験ある?」
「えっ、う〜ん、中学のときバスケ部でちょっとだけ」
そう返すと、黒尾くんは『……上出来』と、私に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でそんなことを呟いた。
何かを企むように目の奥がギラリと光ったような気もした。
「オッケーわかった。今日の放課後、体育館来てくんない?」
「放課後?練習終わった後?」
「もちろん、練習中。……あ、アイツはもういねーから、安心しろ」
「えっ、あの子、マネージャー辞めたの?」
「辞めた。別れた翌日に」
黒尾くんはそれだけ言って、『ちょっとトイレ』と席を立った。
取り残された私は少し放心した。
辞めたマネジャー(元カノ)。
その代わりに私ってこと……?と、大事なことは一つも口にしない黒尾くんの言葉の裏を勝手に想像する。
え、だとしたらさ、黒尾くん。
あなたって、かなり頭ぶっ飛んでる。
肝が据わってるとか、そういう次元じゃなく。ね。
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pomme(プロフ) - 処刑人さん» ありがとうございます🫶🏻🧚🏻♀️🫶🏻 (2月24日 11時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - ちゅき♡ (2月24日 1時) (レス) @page48 id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます🙏🏻🥳 (12月25日 19時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - きゅんきゅんします💕続き楽しみにしております✨ (12月25日 5時) (レス) @page44 id: bad28e8810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pomme | 作成日時:2023年8月7日 23時