第36話 巡る思考 ページ36
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水族館に着くと、その先は自由行動だった。
みんな各々好きなように、友だちと、あるいは恋人と手を取り合った。
うちの学園が、水族館をまるまる借り切るとだけあって、生徒や先生の自由度は計り知れない。
どこを歩いても身内しかいない。
その光景は異様なようで、片方では独特な安心感をもたらした。
だからきっと、得体の知れないジンクスが、何年にも渡って語り継がれているのだろうと思った。
黒尾くんはきっと、彼女と回るんだろう。
あんなことを目にしても、いつも私の脳内は黒尾くんのことを考えてる。
いつの間にか姿を消した彼のことを思いながら、私は手招きするクラスメイト数人の後を追った。
ここに来るバスに乗る直前、黒尾くんは、『Aもやんの?ジンクス』と、それを訊くのが礼儀であるかのように振る舞った。
その問いに、私は曖昧に笑った。
適切な答えなど、出せるはずがなかった。
「黒尾くんは?」
「俺?俺はそういうの、信じねーよ」
さらりとかわす、黒尾くんの彼特有の軽さだけが救いだった。
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pomme(プロフ) - 処刑人さん» ありがとうございます🫶🏻🧚🏻♀️🫶🏻 (2月24日 11時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - ちゅき♡ (2月24日 1時) (レス) @page48 id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます🙏🏻🥳 (12月25日 19時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - きゅんきゅんします💕続き楽しみにしております✨ (12月25日 5時) (レス) @page44 id: bad28e8810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pomme | 作成日時:2023年8月7日 23時