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第31話 また一緒 ページ31







昨日のできごとを上手く飲み込めないまま、朝になった。


6月初めの日は、季節に似合わずよく晴れていた。




教室に入ると、みんなはどこか浮き足だって、ざわめいていた。


そうだった。

席替え。



私の席は、黒板に貼り付けてある表を見なくたってわかってるけど、確認しないのも変だから、とりあえず見ておくことにした。


私の名前は、案の定、黒尾くんの目の前の席にある。



「お前らまたその席?仲良すぎ」

クラスメイトの男子が揶揄うように笑う。


『私ももう飽き飽きしてるんだけど』と、冗談ぽく返した私の肩に、ズシンと重たい手がかかる。


「誰が飽きてるって?」


「……く、黒尾くん。冗談だよ」


私を見下ろして、ニヤリと口角を上げる黒尾くんと目が合う。



彼の姿を一目見るだけで胸がどきんと波打ち、その姿が瞳の奥に焼き付けられた。



ただのクラスメイトじゃなくて、好きな人。

そう、ほんの少し自覚するだけで、甘い痛みが体を巡る。


それと同時に、昨日、黒尾くんと交わした言葉や、彼氏に振られた事実が脳裏をかすめた。



「ん?どうした?」


「えっ、ううん。何でもない」


言葉を濁すと、黒尾くんは腑に落ちないというように、首を傾げた。




あのね、黒尾くん、聞いてよ。


振られたの、私。


あのあとね、彼氏に振られたんだ。




言ってしまえばよかったのに、何となく言えなかった。



口にすれば、私の気持ちが伝わって、迷惑になるんじゃないかと思った。

黒尾くんは鋭いし、勘がいいから。


すぐに気づいて、また気まずくなったらイヤだから。


私の思い過ごしが、事実になるのも怖かった。





昨日振られたばかりなのに、頭の中は、黒尾くんが彼女と別れて、私のことを見てくれますようになんて、邪悪な願いばかりが占めているとか。


そんなのも、君だけには絶対知られたくないし。


いつもの私でいるのがベストだと思ったんだ。

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pomme(プロフ) - 処刑人さん» ありがとうございます🫶🏻🧚🏻‍♀️🫶🏻 (2月24日 11時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - ちゅき♡ (2月24日 1時) (レス) @page48 id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます🙏🏻🥳 (12月25日 19時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - きゅんきゅんします💕続き楽しみにしております✨ (12月25日 5時) (レス) @page44 id: bad28e8810 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pomme | 作成日時:2023年8月7日 23時

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