第13話 気になる ページ13
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とある日の昼休憩。
例によって、屋上には俺たちしかいない。
すると夜久が突然、昼メシを食べる手を止めて、思い出したように呟いた。
「黒尾、最近楽しそうだよな?何か良いことでもあった?」
反射的に背筋が伸び、一瞬だけ息が止まる。
『俺も…、ちょっと気になってた』と、研磨も言う。
あれ。
勘付かれてた?
春らしい陽気。
爽やかな風が頬を撫でるのを感じながら、徐々に額には汗が滲むのがわかった。
「無くはない」
「やっぱり。だってそれ、お前がそのお菓子チョイスするわけないって思ってたんだよ」
「で、何……。良いことって」
『どうせ彼女だろ?』と、夜久がため息をつく。
俺は黙った。
黙ってしまった。
なぜなら、彼女のことではないからだ。
俺の彼女。
男子バレー部マネージャー。同級生。
3年に上がる前、付き合ってほしいと言われ、断るのも気まずいから、なんとなく承諾した告白。
それから今日まで、続いている関係。
そんな関係で、良いことなんてあると思うか、やっくんは。
と、脳内で愚痴っても、口から出てくるのはしょうもない嘘だけで。
「……まぁ、そんなとこよ」
それだけ言って、知らん顔してお茶を飲む。
「んだよ、その間は」
夜久が不審そうな目で俺を見る。
「ま、お前の惚気ほどつまんねーものはないけどな」
「やっくんひど…」
少し笑って、俺はまた黙った。
それからこっそり深くため息を吐いた。
言えねぇよ。こんなの。
彼女いんのに、他の子のことが気になってる、なんて。
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pomme(プロフ) - 処刑人さん» ありがとうございます🫶🏻🧚🏻♀️🫶🏻 (2月24日 11時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
処刑人 - ちゅき♡ (2月24日 1時) (レス) @page48 id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - かおりさん» ありがとうございます🙏🏻🥳 (12月25日 19時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - きゅんきゅんします💕続き楽しみにしております✨ (12月25日 5時) (レス) @page44 id: bad28e8810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pomme | 作成日時:2023年8月7日 23時