第35話 ざわつく心 ページ35
◆
あっという間に１日目が終わった。
昼まで補修受けたことが嘘みたいだ。いつもより高い天井を見上げて、ふと思った。
Aにお礼、まだ言ってねぇ。
それが少しだけ引っかかっていた。
怒涛の勢いでここまで来て、そのまま練習。案の定、Aと話す時間は1ミリも無かった。
お礼を言ったところで、あいつはきっと、いや絶対、『そんなの気にしなくていいのに』って、ニコニコ笑う。
そんな未来を易々と想像できるのに、伝えたいと思ってしまう。
柄じゃねぇが、アイツの笑顔を……見たいと思う。
なんてな。ホント、柄じゃねぇ。
．
声をかけようと思って、一瞬ためらった。
…これは“お取込み中”的なやつか。
菅原さんと話すA。意外にこのふたりの組み合わせ、よく見る気がする。
別に、大したことじゃない。
Aが誰と話そうと、俺には知ったこっちゃねぇ。けど、意味もなく胸がざわつく。
「あっ、影山。なあ、お前もそう思うよな？」
俺に気づいた菅原さんが、そう言いながら背中をバシバシ叩く。
「…っ痛いっす。てか、何の話すか」
『あはは、悪りぃ悪りぃ』と眉を下げた菅原さんを見て、Aが笑った。
．
「……黒尾さんと…A…？」
チラリと目をやると、視線に気づいたAが俺を見て『絶対ないよね』って苦笑いした。
黒髪トサカ男と、その隣に並ぶA。
は？絶対ねぇだろ。
その姿を想像した途端、胸の中にドロドロとした嫌悪感が渦巻いた。
……ありえねぇ。絶対、ありえねぇ。
Aが…？
いや、絶対ダメだ。そんなの俺が許さねぇ。
「ほら〜、菅原先輩が変なこと言うから、影山くん黙っちゃったじゃないですか」
「えー？俺のせい？」
「ねぇ、困るよね、影山くん」
そう言って、眉間にしわを寄せながらAは首を傾けて俺の顔を覗き込んだ。
「しわ寄ってんぞ」
「うわ、ほんとだ。ふふ、影山くんにそれ言われるとか、いつもと逆だね」
見慣れたはずのAの笑顔が、何か少し違って見えた。
いつもと同じ、やたら明るい声も、違って聞こえた。
そしてそれを意識した瞬間、ドクンドクンと鼓動が早まった。
さっきまでのドロドロは一瞬にしてどこかに消えた。
俺はおかしいんだろうか。
それとも、ここが東京だからか？
なぁ、A。
お前はどう思う？
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pomme(プロフ) - 読み専さん» コメントありがとうございます！！頑張らなきゃ！ (2021年12月31日 20時) (
レス) @page39 id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
読み専 - え、続き読みたい…更新待っております！！ (2021年12月31日 11時) (レス) @page42 id: 0067091e87 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 蜜柑🍊さん» そうなんですwwめちゃくちゃ地味なところに謎のこだわりを詰め込んでます😎ありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月21日 23時) (レス) @page35 id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑🍊 - あと、今更気が付いたのですがタイトルの付け方もお洒落で、全部5文字になっているんですね😄応援してます！ (2021年11月21日 22時) (レス) id: e3fbbedd51 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 蜜柑さん» ひえぇ！嬉しい…！褒められ慣れてないのでソワソワしちゃいます🥺密柑さん、もうほんとめちゃくちゃありがとうございます！ (2021年11月9日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2021年9月20日 23時
