第27話 淡い夕暮れ ページ27
．
影山くんが問題解いてる間に、私は私の課題を進めた。
そして、なぜか知らないけど、今外でめっちゃカラスが鳴いてる。
いやほんと、尋常じゃないくらい。
「えっ、こわ。ガチ喧嘩？」
思わず立って、窓を開けた。
世界が淡い色に染まる。
夕暮れの少し冷たい風が吹き込んで、ノートをパラパラとめくった。
「ガチ喧嘩って……」
フッと笑った影山くんが、ペンを置いて私の隣に立つ。
少しだけ肩が触れた。
ドキッとして、一歩横にずれようと思ったけど、あからさまに動くのも失礼な気がして、そのままにした。
影山くんも避けないし、このままでいいんだと思う。そういうことにしとく。
どれだけ外を見渡しても、カラスは一羽も見当たらない。
「あれ、いないじゃん」
「Aの幻聴なんじゃねぇか？」
「違うわ。絶対いたし。たぶんアレだ、影山くんの圧にビビって逃げたんだね」
「アホか」
「ひど」
お互い顔を見合わせて、少し笑った。
ほんのり甘くて心地良い熱が、固くなった身体をふわふわと溶かしてく。
「ねぇ、バレー以外に好きなものないの？」
窓枠に肘をついて、ぼんやり外を眺めてる影山くん。その横顔にチラリと目をやる。
相変わらず、綺麗な横顔してるわぁ。
「無い」
「うん、でしょうね。じゃあ、趣味は？まって、バレー以外ね」
「バレー以外の趣味？」
「ないの？」
そう尋ねながら、うしろにある机に腰掛けた。
うーんと、考える素振りを見せる影山くんが、くるりと振り向く。
「無いかもな」
そしてそう答えながら、首をこてんと傾けた。
いや、あざと……。
「じゃあさ、……好きな人は…？」
外を走る車の音がわずかに聞こえる静かな空間。
息を殺して、影山くんの返事を待つ。
微かに震える指先をキュッと握りしめて、高鳴る鼓動に耳を澄ませた。
「いねぇよ」
．
その日の帰りも例によって、先に靴箱に行った影山くんを追いかける。
好きな人いないなら、私にもチャンスあるかも…とか、思ったりしながら。
靴箱の影に彼の背中が見える。
そのとき、私の目に彼とは違う、別の人の姿が映った。
彼と向かい合う、華奢な女の子。
何が起こってるのか、バカな私でもさすがにわかる。
よりによって今日かよ。
つまんない悪態は宙に消えた。
目を背けて、壁に背中を預けたまま座り込んだ。
余計なことしないで。
そう祈った。
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pomme(プロフ) - 読み専さん» コメントありがとうございます！！頑張らなきゃ！ (2021年12月31日 20時) (
レス) @page39 id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
読み専 - え、続き読みたい…更新待っております！！ (2021年12月31日 11時) (レス) @page42 id: 0067091e87 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 蜜柑🍊さん» そうなんですwwめちゃくちゃ地味なところに謎のこだわりを詰め込んでます😎ありがとうございます！頑張ります！！ (2021年11月21日 23時) (レス) @page35 id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑🍊 - あと、今更気が付いたのですがタイトルの付け方もお洒落で、全部5文字になっているんですね😄応援してます！ (2021年11月21日 22時) (レス) id: e3fbbedd51 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 蜜柑さん» ひえぇ！嬉しい…！褒められ慣れてないのでソワソワしちゃいます🥺密柑さん、もうほんとめちゃくちゃありがとうございます！ (2021年11月9日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pomme | 作成日時：2021年9月20日 23時
