おまじない【影山飛雄】

第07話　求めるもの ページ7

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スタートの合図とともに、箱からお題の書かれた紙を取り出した後、急いでお題のものを探しにいくみんな。



さっそく誰かのお父さんのサングラスを引ったくったり、おばあちゃんから麦わら帽子を奪ったり、てんやわんやで何が何だかわかんない。


でもこれがすっごく盛り上がった。

赤も白も学年も一緒くたになって、わーわー言ってる。




そんなカオスな状況でも、私の視線は影山くんを捉えて離さなかった。怖いとか言わないで。勝手に目で追っちゃうんだから仕方ない。





影山くんの紙には何が書かれてんのかな。

周りの雰囲気に全く動じる様子のない影山くん。やっぱり今も涼しげな表情を浮かべてる。


まるで影山くんだけ、他の人とは違う時間が流れてるみたい……なんて思っていると、不意に影山くんと目が合った。





あっ、ヤバいな。

絶対見てたのバレたじゃん。はっず…。


急いで目を逸らして知らないふりをする。









少しして、バレてないかなぁって気を抜いた途端、『A、手貸せ』って頭の上からひどく冷静な声が降ってきた。



驚いて顔を上げると、何とも言えない表情の影山くんが立っていた。





「えっ、あの」


キモ、私。何キョドッてんの。

って、わかってるのに、口から出てくるのは声にならない声。





「いいから、立って。早く」


影山くんが右手を差し出す。




「えっ、うん、わかった」


影山くんが急かすから、仕方なく手を取った。


半端なくドキドキしてるのは、急にこんなことになったから。

別に私、そういうのじゃないし。



そんなふうにはぐらかすのも、そろそろ限界かもって、ね、そう思っちゃうのを、全部影山くんのせいにした。

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