第30話 肩を貸して ページ30
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ガタンと大きく揺れた衝撃で、ふと目が覚めた。
そして感じる違和感。
何かに寄りかかってる……?
薄目を開けて、ゆっくりと顔を左に向けた。
「…っ………!」
うっそ…。
近っ、まってほんと。影山くん?なんで。
びっくりした反動でパッと離れた。
あり得ないくらい近い。ほんとすぐそば。
そんなところに影山くんの顔があるなんて思わないから、ふつう。てか何で私、影山くんに寄りかかってんの。
慌ただしく飛び跳ねる心臓をどうにかしようと思っても、無理無理。
ほんの数センチ先に見えた影山くんの横顔が焼き付いて……、もう、ほんとダメ。
「ご、ごめん。……肩…借りてるとは思わなくて…、私めっちゃ寝て…」
ドキドキしすぎて、もはや自分が何言ってるかわかんない。
そんな私をよそに、影山くんは涼しい顔のまま『熟睡してたな』って言って、私の頭をくしゃくしゃってした。
うっ……って声が出かかった。
何この不意打ち。
どうしちゃったの、影山くん。
鎮まるどころか、一層騒がしくなる私の心臓。
「ごめんね、重かったよね?てか、ふつうに嫌だったでしょ」
普段通りに、いつもの感じで。
必死に自分に言い聞かせた。
だけどそんな私の葛藤を知らない影山くんは、じゃんじゃんそこに着火する。
「ん?嫌なわけねぇだろ。Aなんだし。むしろ、また貸してやってもいいけどな」
そう言って、口角を上げた。
なんなのそれ…。
いやほんと、ねぇ、影山くん。
『それって…』と言いかけた私の声は、明るい雑音にかき消された。
「影山!俺も今度お前の肩借りていい?」
助手席に座ってる日向がくるりと振り向く。
いや、日向何訊いてんの。今じゃなくても…!
日向、お願い。ほんと今じゃないから、静かにしてて。
と思った矢先、影山くんは何故か私の頭に手をポンと軽く乗せた。
「お前に貸すわけねぇだろ、日向ボケェ。A専用だ。な、A」
「えっ……、えっ??」
「え〜Aさんだけずりぃ〜」
駄々こねる日向とそれにキレる影山くん、ケラケラ笑う冴子さん。
それを見てるんだけど、体と頭が別々になったみたいに、全部がふわふわしてた。
影山くん、私ほんとダメだからそういうの。
体爆発しそう。
こんなんじゃ、しまっておけないじゃん。
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pomme(プロフ) - 読み専さん» コメントありがとうございます!!頑張らなきゃ! (2021年12月31日 20時) (レス) @page39 id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
読み専 - え、続き読みたい…更新待っております!! (2021年12月31日 11時) (レス) @page42 id: 0067091e87 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 蜜柑🍊さん» そうなんですwwめちゃくちゃ地味なところに謎のこだわりを詰め込んでます😎ありがとうございます!頑張ります!! (2021年11月21日 23時) (レス) @page35 id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑🍊 - あと、今更気が付いたのですがタイトルの付け方もお洒落で、全部5文字になっているんですね😄応援してます! (2021年11月21日 22時) (レス) id: e3fbbedd51 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 蜜柑さん» ひえぇ!嬉しい…!褒められ慣れてないのでソワソワしちゃいます🥺密柑さん、もうほんとめちゃくちゃありがとうございます! (2021年11月9日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pomme | 作成日時:2021年9月20日 23時