61.独占欲 ページ21
「こんなに分かりやすいのにね、今は」
「ん？」
「あの時くらいからか…もっと前からか。きっと好きだったんだけど」
ひゃー！って満面の笑みで喜んでる。
こんなに分かりやすいのに。
「章大は、あの時困ってたのがあたしじゃなくても、きっと同じことしたでしょ？」
「Aやなくても…？」
「そう」
いつでも、誰にでも優しい。
それは、すごく魅力的で。
あたしを時々苦しくした。
「んー…どうやろ？わからんけど…例えば、そやなぁ、カナミちゃんが同じ状況やったとしても、同じようにするかもなぁ」
「うん」
「……」
「章大はみんなに優しいからさ、全然章大の気持ちがわからなくて気持ち伝える勇気なんかなかったよ」
期待しては抑えて、の繰り返し。
少し顔を上げて章大の顔を見ると、眼鏡越しに目が合って、章大が口を開いた。
「俺さ…」
外で気配がしたと思ったら、チャイムが鳴った。
章大は、郵便かな？って言いながら玄関に向かう。
明るい声が玄関でするのを聞きながら、2人分の食器をキッチンに下げた。
いつの間にか随分話してたな。
「あ、A！ありがとう！」
「ううん。郵便？」
「うん。あ、お茶でも淹れよか」
「そだね。あ、そういえば昨日鹿児島でいこ餅買って来たんだけど食べる？」
「あ、Aが好きなやつな！食いたいなぁ！」
章大がお茶を淹れてくれてる間に、スーツケースからパックを出していこ餅をお皿に乗せる。
「空港で買ったん？」
「うん。今回は買い物とか行かなかったから」
「バタバタやったもんなぁ」
あ、熱いで？って言いながらお茶を差し出してくれる章大。
「俺さ、確かに他の人でも同じことするかもしれへんけど…」
「さっきの話？」
「ん。じゃあその気持ちが誰に対しても一緒か言われたら違うと思う」
「どういうこと？」
「心配やから迎えに行く、やねんけど。やっぱAは俺が助けたいっていうか…」
「俺が」
「そ。相澤にA取られたくないなぁとか」
「それは、独占欲…」
「あったと思うでー？」
うんまーって、いこ餅を口に入れながら笑ってる。
熱いお茶と交互に食べてるから、間違っていこ餅フーってしたの見逃さなかったけどね。
「みんなに優しくありたいけど、夜中に会いたくて呼び出すんはAだけやったで？あ、丸にはしてたか」
「あはは！丸ちゃん大好きじゃん」
「んふふ。なんやろ、迷惑かな？とか気にする気持ちを通り越して会いたい！になってまうんやろな？」
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みき(プロフ) - 夏休み編、完結おめでとうございます！おだやかな気持ちで東京に戻れて良かったです〜！新しい章も読んできます〜！ (2021年5月9日 16時) (
レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます！有休をまとめて消化したら、ついつい気持ちが緩んでしまってます 笑。これからお話の方も完結に向けて進めていきたいと思いますので、もう少しお付き合い下さい♪ (2021年5月9日 11時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！嬉しいです♪お仕事もお疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね。主人公の気持ちが痛いほど感じられて、切なくて涙が出そうになりながら読んでいたら、章大くんの気持ちも知れて…ホッとしました〜！！ (2021年4月15日 3時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 竜宮城のようなゲストハウス、素敵な絵が目に浮かびます！ボク。ともリンクしているのもすごいなぁと。インスタも始まり、チェックするものも多くなってきてますよね(^◇^;)そんな中でも更新ありがとうございます。続きも楽しみにしています♪ (2021年1月31日 14時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» お返事が遅くなってすみません！2人は翌日に離れ離れなのに、私が書くの遅過ぎてすごい遠そうな気がしてきました 笑。現実世界に全く追いつきませんが、ぜひ続きも楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2020年12月21日 18時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2020年10月16日 20時
