38.頼りない約束 ページ37
すんごい楽しそうに話すあさみを止める気にもならず、別に隠すことでもないなって放っとくことにした。
ていうか、相変わらずここのレモンサワー薄いな。
「へえー！あさみ先生会ったことあるんですか！？」
雅紀先生思いの外ノリノリで聞くじゃん。
「こないだうちにAが泊まった時にビデオ通話？しててさ！ほら、日課だから」
「いやそれあさみが強引に掛けさせたんじゃん！！なんかあたしが空気読めないヤツみたいになってるし！！」
いや、雅紀先生めっちゃ笑ってるね？楽しんでるね？
まあいいや。とりあえず、雅紀先生も楽しそうだし。
おかわりを注文するついでにトイレに行って戻って来ると、ちょうど座敷の入り口に雅紀先生がいて、あ！ってあたしの顔見て言った。
「ウーロンハイ頼んだの、A先生？」
少し酔いが回って、雅紀先生の敬語が取れてる。
「あーそうそう！あたし！」
「良かった！」
雅紀先生が指差したあたしの席にウーロンハイ。
置いといてくれたんだ。
「ありがとうございます、っていうかあさみは？」
居たはずのあさみの姿がそこになくて、ぐるりと見渡したのと雅紀先生が指差したのは同時。
案の定、斗真先生の隣で楽しそうに飲んでる。
「あいつほんと自由だなー…」
「あさみ先生、斗真先生めっちゃ好きなんすねー」
「わかる？」
「いやもう全身から！こう、好きが溢れてる！」
「あはは！だよねー！どう思う？脈あるかな？」
「どうかなー？」
ニヤニヤと2人であさみと斗真先生を観察しながらちびちび飲んでたら、雅紀先生がちらりとあたしを見た。
「あの、」
「え？」
「あー、ほら。さっきの話の、A先生の彼氏さん」
「うん」
「ずっと向こうにいるんですか？」
「ずっとって？」
「帰ってくる予定とか…」
雅紀先生は前を向いたまま、ジョッキを両手で持ってテーブルの上でくるくるしてる。なにそれ。
「帰ってくる、とは言ってる」
「時期とかは未定？」
章大が、何かを見つけたら。
それは、すごく漠然としていて。言葉にすると頼りない約束。
いい歳をした大人がそんな約束って、きっと普通は思うんだろうなって思ったら、なんて説明したらいいのかわからない。
「未定といえば未定、かな？」
「…不安じゃないの？」
ジョッキをくるくるしてた雅紀先生が手を止めて、あたしを見た。
「うん、全然」
言葉にしたら頼りない約束でも、あたしは章大を知ってる。
「そっか」
…うそ。不安じゃないわけない。本当は。
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菜々実(プロフ) - みきさん» ありがとうございます！主人公の夏休みから始まるパート2をぜひよろしくお願いします♪ (2020年10月11日 21時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます。主人公の不安な気持ちがリアルに伝わってきます。雅紀先生も素直で純粋で…章大くんは気付いてるのか…いよいよ再会ですね！続きが楽しみです！ (2020年10月9日 21時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - あおさん» あおさん、ありがとうございます！長らくお休みをしていたので、なかなか思うように書けませんが、ぜひまたお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» 短編もお読み頂きありがとうございます！のんびりの更新になりますが続きもぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ずっとずっと待ってました、新しいお話うれしいです (2020年9月13日 16時) (レス) id: c3910aa6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2020年7月18日 0時
