33.えがお ページ33
雅紀先生は、目をまん丸にして止まった。
「え、もしかして…」
「はい！こころちゃん！笑ってくれたんです！給食の時！！」
毎日順番にグループを回りながら子ども達と一緒に食べる給食。今日はたまたまこころちゃんのグループで。
他には、ミウちゃんと、ひょうきんな太陽くん、それからおっとりと優しいアサヒくん。
お喋りをしながら、時々こころちゃんに
「あはは！面白いねえ太陽くんは」
なんて話し掛けると、大きく頷いたりして。
デザートのオレンジを食べる時、太陽くんがオレンジの皮を口にはめる定番の芸をやると、なんとおっとりアサヒくんが真似をして。
男子2人の面白い顔にミウちゃんとあたしは大ウケで。
「やだー！こころちゃん見て見てー！」
って隣を見たら、すっごく楽しそうに笑ってる彼女がいた。
「す、すごい！！やったぁー！！」
あたしの話を聞いた雅紀先生が、めちゃくちゃ自然にハイタッチを求めてくるから応じたら、またもやめちゃくちゃ自然に手をぎゅうってされた。
え、ぎゅう？
「やりましたね！あー！俺も見たかったぁぁ！！でもいっか！また見られるかもしれないし！あー嬉しいー！」
職員室の前でぴょんぴょんしてる。
少年…。
「嬉しいですね！ね！A先生！！」
「…ふふ、はい！」
「あ、なんで笑ったの！」
「いやー嬉しそうだなと」
「嬉しいですから！」
ああ。
この人は素直な人なんだな。
あたしとは真逆の。
羨ましいな。
「こころちゃん、色々と慣れてきたのかな？どう思います？A先生」
「それはそうだなと思います。あと、今日の場合はメンバーもとっても良かったかなって」
「グループの？」
「はい。多分、今まで園で笑ったり声を出したりしたことがなかったでしょ？そこから自分を出していく…今日みたいに表情を変えたりとか。そういうことのハードルが、こちらが想像する以上に高いんだと思うんです」
自分の行動に対する、周りの反応の不安。
正しいのか、間違ってるのか、不安。
初めてのことに固まるのは、そういう気持ちもあるかも。
「なるほど…」
「でも、ミウちゃんはいつも一緒に遊ぶのもあるけど、変化に気付いてもごく自然に受け止めるというか、何でもありのままを受け入れる感じで」
「確かに！初めて俺が来た時も、先生3人なの？って確認した後は、他の子みたいにあれこれ疑問をぶつけてくることもなかった…」
笑顔だった雅紀先生が真剣な目になる。
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菜々実(プロフ) - みきさん» ありがとうございます！主人公の夏休みから始まるパート2をぜひよろしくお願いします♪ (2020年10月11日 21時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます。主人公の不安な気持ちがリアルに伝わってきます。雅紀先生も素直で純粋で…章大くんは気付いてるのか…いよいよ再会ですね！続きが楽しみです！ (2020年10月9日 21時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - あおさん» あおさん、ありがとうございます！長らくお休みをしていたので、なかなか思うように書けませんが、ぜひまたお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» 短編もお読み頂きありがとうございます！のんびりの更新になりますが続きもぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ずっとずっと待ってました、新しいお話うれしいです (2020年9月13日 16時) (レス) id: c3910aa6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2020年7月18日 0時
