23.幸せ ページ23
「相葉先生、お疲れさまでした」
後ろから声を掛けると、日誌を読むのに夢中になっていたのかハッと勢いよく頭を挙げた。
「お疲れさまでした！！」
子ども達が延長保育の部屋に移動して静かになった保育室には、相葉先生のフ〜って深い息が響いた。
「どうでした？あっという間に子ども達懐いちゃって、ずーっと囲まれてましたね」
「いやー可愛かった！新鮮ですね、初めて会う子ども達！みんないい子で楽しかったですよ！」
相葉先生が、日誌を「ありがとうございました」ってあたしに差し出した。
日誌に目をやって、ふと朝の出来事を思い出す。
「あ、バタバタしちゃって聞くの忘れてたんですけど。朝、ハルくんとユウタくん…」
「ああレゴの！はいはい！なんか、ユウタくんがスケルトンのパーツで色々作ってたら、透明のばっかり使ってズルいってハルくんが言いだしちゃって…」
「やっぱり…よくやるんですよ、あの子たち。その割にいつも一緒に遊ぶっていう…」
「いますよねえ！仲良いんだか悪いんだかみたいな」
「すいません、しょっぱなから介入してもらっちゃって」
「僕ほとんど口出してないですよ〜。どうした？って聞いたくらいで。ちゃーんと２人でお話して、ユウタくんも透明のみんなも使うからって、箱の中に戻したりして。凄いですよ、２人とも」
あれ。なんか。
嬉しい。
「あ、なんかA先生嬉しそう」
「自分の子を褒められたみたいな気分になってしまいました…」
「あはは！わかりますわかります！」
「みんな、ちょっとずつ成長してるんですね」
「はい。それに気付いた時、この仕事って幸せだなーって思いません？」
あさみもそうなんだけど。
子ども達になにか凄いことを出来るようになって欲しいとか、そんな大きな事を求めるんじゃなくて日々の些細な成長に気付いて一緒に喜べる、そんな人と一緒に働けるっていうのは幸せだなって思う。
「思います。…相葉先生、来年度よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。あ、あの、もし良かったら雅紀先生、って呼んでもらってもいいですか？」
「あ、子ども達ももうそう呼んでましたね」
「はい、ずっと雅紀先生で来ちゃってるのでそっちのほうがしっくりくるって言うか…」
「わかりました。雅紀先生は次２週間後でしたっけ？」
「はい。今の園の仕事もあるので、２回しか来れなくって…」
心底申し訳なさそうな顔で言う雅紀先生は、根っからのいい人なんだろう。
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菜々実(プロフ) - みきさん» ありがとうございます！主人公の夏休みから始まるパート2をぜひよろしくお願いします♪ (2020年10月11日 21時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます。主人公の不安な気持ちがリアルに伝わってきます。雅紀先生も素直で純粋で…章大くんは気付いてるのか…いよいよ再会ですね！続きが楽しみです！ (2020年10月9日 21時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - あおさん» あおさん、ありがとうございます！長らくお休みをしていたので、なかなか思うように書けませんが、ぜひまたお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» 短編もお読み頂きありがとうございます！のんびりの更新になりますが続きもぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ずっとずっと待ってました、新しいお話うれしいです (2020年9月13日 16時) (レス) id: c3910aa6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2020年7月18日 0時
