20.長年の両想い ページ20
「あはは！ごめんごめん！」
丸ちゃんは、ことんとグラスをあたしの前に置きながら
「Aが来たら言お思ってたんやけど」
って言ってから、ちょっと姿勢を正した。
「え、なに」
「ほんま、おめでとう！」
「…え、え？」
「ヤスと、付き合うことになったんやろ？」
「あー！それね！ありがと。ってことは、あれからあたし一度もここに来てないのか！」
「せやで！？お祝いしたろ思ってたのに、俺のこと忘れてたん！？」
「うん、ごめん忘れてた」
ああー！って嘆いてる丸ちゃんが、学生の頃と変わらず面倒臭くて、スマホで隠し撮りして章大にこっそり送ってやった。ふふん。
「Aはさぁ、いつからヤスのこと好きやったん？」
「えーわかんないなぁ」
「大学の頃から？」
「うん」
「うそん！！」
うそんってなに。めちゃくちゃ驚いてる。
「仲は良かったやんか。やからAもヤスのこと好きなんかなぁと思ったりはしたけど、あんまりA表に出えへんていうか…いまいちわからんかったんよねぇ」
「そんなこと思いながら見られてたとか、なんか恥ずかしいんですけど…」
仲間同士でただワイワイしてて。
確かに恋愛話もしたし、誰と誰がくっついたとか、そんな事もあったけど。
自分のこと、ってなるとちょっと恥ずかしい。
「やー、でもほんま良かったわぁ。ヤスの想いも報われたわけやし！」
「…ありがと」
「長年のヤスの片想いかと思ったら、長年の両想いやったってのはびっくりやけどさぁ」
…ん？
長年の……両想い…。
「は？」
「へ？」
あたしの声に、丸ちゃんが口を半開きにしてこっちを見る。
「いやいやいや、長年の両想いって、え？章大って…」
「あ、いつからAのこと好きやったかって？」
「丸ちゃん知ってんの？」
「そら知ってるよ。えっとな、」
「あー！ストップストップ！！言わないでいい！」
「なんでー？」
なんとなく。
あたしにとって、大切なことで。
きっと、ずっと大切にしたい話な気がするから。
「なんか、丸ちゃんからじゃなくて章大から聞きたいかも、それは」
「えー」
「えーってなによ…」
「言いたいやーん」
「はあ？いや、絶対言わないで。章大に聞く」
それから、ちょっと気を抜くと暴露しようとする丸ちゃんを黙らせながら、章大との約束通り終電で帰った。
電車の中から、章大にLINEを送る。
�犧４櫃舛磴鵑里箸浬个董�電車乗ったとこ。ちゃんと終電間に合ったよ！��
終電の独特の空気に、あの日を思い出す。
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菜々実(プロフ) - みきさん» ありがとうございます！主人公の夏休みから始まるパート2をぜひよろしくお願いします♪ (2020年10月11日 21時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます。主人公の不安な気持ちがリアルに伝わってきます。雅紀先生も素直で純粋で…章大くんは気付いてるのか…いよいよ再会ですね！続きが楽しみです！ (2020年10月9日 21時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - あおさん» あおさん、ありがとうございます！長らくお休みをしていたので、なかなか思うように書けませんが、ぜひまたお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» 短編もお読み頂きありがとうございます！のんびりの更新になりますが続きもぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ずっとずっと待ってました、新しいお話うれしいです (2020年9月13日 16時) (レス) id: c3910aa6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2020年7月18日 0時
