14.女の子扱い ページ14
「最近どうなの？進展あった？」
「何がよ」
「南の島の男！」
作業してた保育室の机に身を乗り出すあさみ。
あたしは、ようやくできた赤鬼のお面を顔に付けた。
「まあね、一応」
「ま、まじで！？じゃあ付き合うことになったの！？」
「うん。まだ向こうにいるから遠距離だけど」
「ちょっとー！言ってよ！いつから？」
「んー、おゆうぎ会の前くらい」
「はぁぁぁぁあ？」
なんで何ヶ月も黙ってたの！って怒ってるあさみが画用紙丸めて、あたしの頭をぱこんと叩いた。
「いたぁ！」
「嘘つけ！痛くないっしょ！この幸せ者め！」
「あはは！まあそう羨ましがるなって。その数ヶ月、1度も直接会ってないんだから」
「寂しい？」
「そりゃ寂しいよ」
「じゃあやっぱ泣いてんの？」
さっきの質問に戻るあさみ。
でも、さっきと違うのは、ちょっと心配そうな顔してるとこ。
「泣いてないよ。だって…」
電話でも、LINEでも。
時々やるオンライン飲みでも。
章大は必ず、あたしに言ってくれる。
『じゃあ、またな？』
『うん、またね』
『バイバーイ』
『ん、バイバイ』
『A』
『ん？』
『好きやで』
優しい顔と声で、必ず言うから。
会いたくはなるけど、不安はない。
だから、泣かない。
「だって？」
「……なんでもなーい！」
「ちょっとぉ！言いなさいよ！」
「やだ！言わない！あはは！」
「何真っ赤な顔してんのよ！」
「しょうがないでしょ赤鬼なんだから！」
大声で騒いでたら、職員室にいたはずの主任の中尾先生がいつの間にか来て
「楽しそうに残業してるねー…。ほら、遅いから帰るよ！」
って苦笑いしてた。
家に帰って軽く食事を済ませた後、章大から来てたLINEに返信したら、すぐに着信。
『もしもーし、お疲れさん』
「お疲れー疲れたー」
『ふふ、素直でよろしい。今日は遅くまで残業やったん？まだ風呂入ってないやろ』
画面越しに、あたしを指差して言う章大。
メイクはほとんど落ちちゃってるけど、まだ服のままだからだろう。
「うん、あさみと製作の準備」
『帰り大丈夫やったん？あさみさんて、園のすぐ近くに住んどる言うてたやん？A夜道1人で帰って来たん？』
「あー、途中までは主任と帰り道一緒だから大丈夫だよ」
『そか、なら良かったけど。気を付けなあかんよ？』
「…ありがと」
あの日。
友達から恋人になってからの章大は、以前よりもっとあたしを女の子扱いする。
まだちょっと擽ったい感じはするけど、幸せだ。
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菜々実(プロフ) - みきさん» ありがとうございます！主人公の夏休みから始まるパート2をぜひよろしくお願いします♪ (2020年10月11日 21時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます。主人公の不安な気持ちがリアルに伝わってきます。雅紀先生も素直で純粋で…章大くんは気付いてるのか…いよいよ再会ですね！続きが楽しみです！ (2020年10月9日 21時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - あおさん» あおさん、ありがとうございます！長らくお休みをしていたので、なかなか思うように書けませんが、ぜひまたお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» 短編もお読み頂きありがとうございます！のんびりの更新になりますが続きもぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ずっとずっと待ってました、新しいお話うれしいです (2020年9月13日 16時) (レス) id: c3910aa6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2020年7月18日 0時
