11.ずっと見てた夢 ページ11
「それ結構大きいから着れると思う」
「お！ありがとぉ」
「……どういたしまして」
「あれー？Aちゃん？」
「なに？」
お風呂上がり、眼鏡を外して素顔の章大が、ニヒヒって笑ってる。
「なんで顔赤いんですかー？」
ニヒってしながら顔を覗き込んでくる男には。
「いだぁ！！ごめんなさい！！」
軽く腹パンをお見舞いしておくことにした。
っていうか、腹筋バキバキ…。
「…ねえ、痩せたよね？」
「あーちょっとなー。一時期魚ばっか食っとったら痩せてもうてさぁ。最近はまた肉も食うようにしたらちょっと戻ってきたで」
「魚ばっかって…」
「いやー、やっぱ釣った魚はきちんと感謝して美味しく頂かないとあかんしな？それ食うたらもう腹いっぱいなってしまうし」
元々食は細めだから、なんかわかる。
あたしもそんなにたくさん食べられるタイプじゃないから、一緒に食事してて無理に合わせなくていいのが心地いい。
「やっぱり向こうの方がよく釣れるの？」
「釣れる釣れる！めっちゃ楽しい！」
あたしのジャージを着た章大が、あたしのお気に入りのベージュのソファの前にちょこんと座って、手招きをする。
「ん？」
「おいでー」
章大は、ずっと「友達」だった。
サークル室で仲間と一緒にくだらない話をして。
セッションで盛り上がって。
コピバンで必死に練習して。
時には2人で熱く語り合って。
気付いた時には好きだったけど、それ以上に「近くにいること」が何より大切で。
一歩を踏み出そうとすることは最初から選択肢になかった。
誰に対しても、いや、世界中のものに対して愛を惜しまない章大が、あたしを恋愛対象として「特別に」好きだなんて思えなかったから。
「ほら、早よ来て？」
こんなふうに。
「…遠いし。ここやろ？」
章大の向かい0mmに座って。
「…近」
「嫌？」
「そうじゃないけど…」
「照れてんねやー可愛いー」
「ちょっと怒るよ？」
「怒った顔も結構好きやから、それも描かせてもらうけど」
「…性格わるー」
意地悪な顔見せながらも、章大がふんわりあたしを抱き締めるなんて。
「A」
考えもしなかった。
「ホンマは、ずっとこうしたかった」
考えもしなかったよ。
章大の薄い形のいい唇が、こんなに熱くて。
大きくないけどゴツゴツした手が、こんなに熱くて。
その手が、優しくあたしの身体をこうやって触るなんて。
考えもしなかったけど。
…ずっと夢見てたよ。
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菜々実(プロフ) - みきさん» ありがとうございます！主人公の夏休みから始まるパート2をぜひよろしくお願いします♪ (2020年10月11日 21時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます。主人公の不安な気持ちがリアルに伝わってきます。雅紀先生も素直で純粋で…章大くんは気付いてるのか…いよいよ再会ですね！続きが楽しみです！ (2020年10月9日 21時) (レス) id: eb998853f9 (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - あおさん» あおさん、ありがとうございます！長らくお休みをしていたので、なかなか思うように書けませんが、ぜひまたお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - みきさん» 短編もお読み頂きありがとうございます！のんびりの更新になりますが続きもぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです！ (2020年9月19日 17時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ずっとずっと待ってました、新しいお話うれしいです (2020年9月13日 16時) (レス) id: c3910aa6c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2020年7月18日 0時
