44.嵐のようなー809 ページ4
大きな大倉さんがテーブルに乗り出したら、距離なんてすぐなくなる。
目の前には、大倉さんの顔。
「…ありがとー」
息のかかる距離でそう言って。
ふんわりと唇が重なった。
それは、ほんの一瞬で。
なんだかちょっと物足りなくて。
目を開けると、大倉さんの茶色い瞳と目が合った。
その茶色い瞳は、ゆっくり閉じて。
カタン、と倒れそうになったグラスを慌てて除けた。
何度も何度も重なった唇と、ありえないくらい早い自分の鼓動と、力が入らなくなっていく背中。
あまりに現実感がなくて。
でも。
「ていうかさーぁ…」
のんびりした声と、ちょっと不満気な顔。
「テーブル、邪魔やんなぁ？」
そう言って、ちょっと笑いながらのっそり立ち上がった大倉さんの姿に、妙に現実感が湧いた。
「ん」
そう言って腕を引かれて、半ば強引に立たされたと思ったら、もうそこは腕の中。
「んふふ」
「…なんで笑うの？」
「ん？嬉しいから」
ああ、大倉さんは。
自由なんじゃなくて、素直なんだ。
きっと。
「あたしも、嬉しい」
「んふ、良かった」
大倉さんが腰を屈めて、あたしの耳元で
「めっちゃ好き」
って呟くから、思わず首をすくめた。
まるで真上から降ってくるようなキスを受け止めてたら、彼がちょっと笑った。
なんで笑うのよ…。
「…なに？」
「身長差。首痛いやろー？」
俺もちょっとキツイなぁーって言いながら、また椅子に座る。
「おいで？」
「………は？」
「だーかーら、おいでって」
ほら！って、長ーい腕を広げてる、目の前のくま。
「うわ…！」
彼の前まで行くと、また手を引かれて、今度は彼の膝の上。
な……！
なにこれ！！
待って、待って待って！！！
「こっちのがキスしやすいよな？」
突然の微妙な体勢に焦るあたしの気持ちなんてお構いなし。
しっかり体はホールドされて。
キスの、嵐。
「……ね、お…おくらさ…」
「…ん？」
んー？って、ちょっとだけ顔離して目を覗き込まれた。
「あの…」
「ん？」
「この体勢、ちょっと…」
密着度が、ちょっと心臓に悪過ぎる。
どうすればいいの！！
「あ、あー。ちょっと、ヤラシーな、この体勢は」
んふふって笑いながら。
なぜその手が、あたしの腰の辺りを行ったり来たりしてるの…。
全然やめる気ない顔してる。
「コラ」
ってその手を軽くパチンと叩くと、
「えーダメなーん？」
って拗ねた顔。
「あ、明日早いんじゃないのっ？」
「全然早くない」
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菜々実(プロフ) - ちょびさん» ありがとうございます！嬉しいです♪このあとも2人の日常は続いていくと思いますが、平和にほっこりした日々を過ごしてほしいなーと言う願いを込めて、完結しました☆次回作も、ぜひ読みにいらして下さい！！ (2020年6月18日 18時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - かおりさん» こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました！寂しいと思って頂ける作品になって良かったです！ぜひまた読みに来てください(*'▽'*) (2020年6月18日 18時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - 安紀子さん» 最後までお読み頂きありがとうございました！そう言って頂けて嬉しいです(*^^*) (2020年6月18日 18時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
ちょび(プロフ) - となりのくまさん、とても可愛くて好きな作品です。悩んで作られた新作がまた可愛いくまさんとりすさんでほっこりしました。今後の二人がどう進展するのかと気にはなりますが、柔らかい雰囲気でラストになってるから、ハッピーに祝福したいですね。次回作も楽しみです (2020年6月17日 23時) (レス) id: 73b5440736 (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 菜々実さん！素敵な作品をありがとうございました。すきなひと〜や、デパートの王子様から。作品を心待ちにしてたので。終わっちゃって寂しいです。かわいくて、大好きな作品です。たくさん読み返させていただきます。また次の作品も楽しみにしちょります(☆∀☆) (2020年6月13日 10時) (レス) id: c32ad10686 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2016年6月16日 22時
