61.俺のカノジョー808 ページ21
別にヤスにイライラする理由なんかないけど、なんか落ち着かん気分でソファで横んなってたら陽気に鼻歌歌いながらヤスが楽屋に入ってきた。
「ヤス、どこ行ってたん？」
ヤスは小首を傾げながらきょとんとして
「どこって、メイク。今日は一番乗りやってん。あ、次横山くんか大倉ええってー」
って言うて俺の向かいに座って雑誌を広げた。
「大倉、先ええでー」
「俺後でええわー。先横山くん行ってええよ」
「お？おお…ほんなら行ってくるわ」
眠くて起きられへーん、とか呟いてみたら横山くんは楽屋から出てった。
「…なあ、ヤス」
「んー？」
「“おひるねくまさん”、紹介するんやってな」
「情報早いなあ！誰から聞いたん？」
雑誌から顔を上げて、目をまん丸にしてるヤス。
「元々大倉から教えてもらった本やけど、ええ？紹介しても」
「ええも何も決まっとるんやろ？」
「もしかしてアカンかった？」
「別にアカンことはないけど…」
俺がはっきりせえへんからか、ヤスはパタンと雑誌を閉じてテーブルに置いた。
いや、俺も何を言いたいのか自分でも分かってないわ、これ。
「…どうしたん？大倉」
「いや…さっき誰から聞いたん、って言うたやんオマエ」
「おん」
「…作者から聞いてん」
「作者？」
「本の。…彼女やから」
目の前のヤスの周りに、クエスチョンマークが飛んでいくのが見えるみたいな。
そんな顔をしながら
「サクシャ…カノジョ…」
ってぶつぶつ言うてる。
「呪文か！」
「え？なに？どういうこと？」
「だから。絵本の作者が俺の彼女」
「………マジで？」
でっかい口開けて小声で驚いてる(一応周りに聞こえんように気ぃ遣ってんのかな)。
「あ！！！前飲み行った時！！！」
「いや声デカいしな！！」
前言撤回や。
気ぃ遣え。
「言うてた子…」
「あ、小さなった」
「本書く仕事してるお隣さんて…てっきり小説家かなー思ってた…」
「てっきりマルから聞いて知ってんのかと思った。彼女のこと」
「いや、知らん」
「そっか」
「全然知らんかった。そうか…そしたらやめた方がいい？紹介すんの」
躊躇いがちに言うヤス。
例えば、これを機に森野ハコが注目されるようになって。
もし。
万が一。
俺らのことが、バレたら。
「…大丈夫なんちゃう？」
「ホンマ？」
「俺が紹介するわけちゃうし」
「そしたら、大倉から教えてもらったって言わんとくわ。自分で見つけたって」
「そもそも教えてへんし、オマエが勝手に人の見ただけやからな！」
62.諦めないー809→←60.ニヤニヤと、イライラ―808
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菜々実(プロフ) - ちょびさん» ありがとうございます！嬉しいです♪このあとも2人の日常は続いていくと思いますが、平和にほっこりした日々を過ごしてほしいなーと言う願いを込めて、完結しました☆次回作も、ぜひ読みにいらして下さい！！ (2020年6月18日 18時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - かおりさん» こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました！寂しいと思って頂ける作品になって良かったです！ぜひまた読みに来てください(*'▽'*) (2020年6月18日 18時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - 安紀子さん» 最後までお読み頂きありがとうございました！そう言って頂けて嬉しいです(*^^*) (2020年6月18日 18時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
ちょび(プロフ) - となりのくまさん、とても可愛くて好きな作品です。悩んで作られた新作がまた可愛いくまさんとりすさんでほっこりしました。今後の二人がどう進展するのかと気にはなりますが、柔らかい雰囲気でラストになってるから、ハッピーに祝福したいですね。次回作も楽しみです (2020年6月17日 23時) (レス) id: 73b5440736 (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 菜々実さん！素敵な作品をありがとうございました。すきなひと〜や、デパートの王子様から。作品を心待ちにしてたので。終わっちゃって寂しいです。かわいくて、大好きな作品です。たくさん読み返させていただきます。また次の作品も楽しみにしちょります(☆∀☆) (2020年6月13日 10時) (レス) id: c32ad10686 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2016年6月16日 22時
