53.りすの破壊力ー808 ページ13
「考えとくね？」
腕ん中で、ちょっと困ったみたいな顔して彼女は言うた。
「えー…今決めてよー」
「そんなこと急に言われても…」
「いーま！今決めて！」
「子どもじゃないんだから！」
あははって笑いながら、俺の膝をぺしんってちっこい手が叩く。
「だって…さすがに、“たあくん”っていうのは、ね？キャラじゃないし」
「俺が？」
「あたしが」
まあ、確かに元カノとAちゃんやとタイプ全然ちゃうし。
そう呼ばれたいわけやないし。
いや、ホンマに何でもええのよ！ホンマに！
さん付けやなければ！
「…忠義さん？」
「カッタ！！！堅すぎるわ！まるで昭和の妻やで、それ」
やから、さん付けやなくて！
「忠義くん」
「………ま、ええか。うん、その方がええ」
「なんかちょっと不満そうー…」
「ちゃうちゃう。改めて、俺の名前ってあだ名とか付けにくい名前やなぁーって思ってさぁ」
「子どもの頃はなんて呼ばれてた？」
「“おーくら”」
「確かに苗字の方が呼びやすいね」
「せやろ？」
「じゃあ、あたしも“おーくら”って呼ぼうかな？」
「はぁ！？」
俺がめっちゃデカい声出したら、Aちゃんは
「うそうそ！」
ってケラケラ笑った。
こうやって笑うAちゃん、好きやな。
「彼女には、やっぱ下の名前で呼んで欲しい男心」
「彼女…」
「彼女やろ？」
顔を覗き込むと、少し不安げな顔をしたまま口元だけ笑うAちゃん。
「うん、でも…」
「でも？」
「いいのかな…」
ちっこい体を、もっとちっこく縮めた腕ん中のりす。
心臓がぎゅーってなるのを感じて、Aちゃんの頭を自分の胸に寄せた。
「……やめる？」
「え…？」
腕ん中のAちゃんが、少し動いた。
「彼女になんの、やめる？」
「それは…」
「不安なんやろ？」
何を聞いてるんや、俺。
やめる言われたら嫌に決まっとる。
「……やめない」
Aちゃんの手が、ぎゅうっと俺の手を握って言うた。
「良かったー……」
ホッとして、はぁーって息を吐いた。
「自分で聞いといてドキドキしてもうたわ。やめる言われたらどうしよ、って」
「そんなこと言えるわけない！」
ぶんぶん首を振った後、Aちゃんは俺の肩に顔押し付けて。
ちっさい声で、こんなに好きなんだから、って。
なんなん！！
なんなん、この破壊力！！！
なにそれ可愛い！！！
「…ずるいわぁ」
思わず漏れた心の声にAちゃんが上向いたのをいい事に、顔中にキスをした。
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菜々実(プロフ) - ちょびさん» ありがとうございます！嬉しいです♪このあとも2人の日常は続いていくと思いますが、平和にほっこりした日々を過ごしてほしいなーと言う願いを込めて、完結しました☆次回作も、ぜひ読みにいらして下さい！！ (2020年6月18日 18時) (
レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - かおりさん» こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました！寂しいと思って頂ける作品になって良かったです！ぜひまた読みに来てください(*'▽'*) (2020年6月18日 18時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
菜々実(プロフ) - 安紀子さん» 最後までお読み頂きありがとうございました！そう言って頂けて嬉しいです(*^^*) (2020年6月18日 18時) (レス) id: 9f8e96caad (このIDを非表示/違反報告)
ちょび(プロフ) - となりのくまさん、とても可愛くて好きな作品です。悩んで作られた新作がまた可愛いくまさんとりすさんでほっこりしました。今後の二人がどう進展するのかと気にはなりますが、柔らかい雰囲気でラストになってるから、ハッピーに祝福したいですね。次回作も楽しみです (2020年6月17日 23時) (レス) id: 73b5440736 (このIDを非表示/違反報告)
かおり(プロフ) - 菜々実さん！素敵な作品をありがとうございました。すきなひと〜や、デパートの王子様から。作品を心待ちにしてたので。終わっちゃって寂しいです。かわいくて、大好きな作品です。たくさん読み返させていただきます。また次の作品も楽しみにしちょります(☆∀☆) (2020年6月13日 10時) (レス) id: c32ad10686 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：菜々実
| 作成日時：2016年6月16日 22時
