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自分の部屋に戻ると、畳んでおいたわたしの布団が部屋の中央に敷かれていて、その布団が膨らんでいた。
‥‥だれ？
鶴がわたしを驚かそうとしているのだろうか…
‥‥でも鶴、今は審神者の部屋にいるよね…？
不審に思いながらも、恐る恐る布団を捲った。
『…包丁？』
膨らみの正体は包丁だった。
呼びかけると、潤んだ瞳でわたしを見てから勢い良く飛びついてきた。
『うぁっ！…ど、どうしたの？大丈夫？』
「遅い！」
わぁわぁと声をあげて泣き出した包丁を膝に乗せて、背中を摩って泣きやませる事に専念する。
包丁がわたしの腕ごと抱きしめているので、わたしは抱きしめ返す事が出来ずにいた。
『何かあった？』
中々泣き止んでくれなかったが、ようやく静かになった。
もうしばらくこのままあやしていてもよかったのだが、正座した上に包丁を座らせていて足が痺れてきたので、話を切り出して包丁が自ら下りようとするのを待った。
「…いち兄が、…俺のお菓子、かくした」
それだけ告げて、再び泣き始めてしまった。
‥‥下りてくれなかった‥‥
びりびりと痺れを主張し出した足をかばう事が出来ないまま、本当に子どもか？と疑ってしまうほど強い包丁の腕による、胸を圧迫するような締め付けにも耐えた。
足痛いから下りて、なんて言えなかった。
部屋が隣同士という単純な理由なのだろうが、包丁がわたしを頼ってここに来てくれた事がとても嬉しい。
『一期、呼んで来る？わたしからも返してって頼んであげよっか』
「…」
泣き声は止まった。
『…包丁？』
「嫌だ！」
『ぇ…？』
包丁が突然叫んだ。そしてわたしにしがみついている包丁の腕にはさらに力が込められた。
『っ‥‥』
痛いが、それを口に出すのは憚(はばか)られた。
包丁の方が明らかに小さな見た目をしているのだのだ。小さな子に抱きつかれただけで痛いなんて言うのは情けない。
まあ痛いのは我慢するとしよう。少し肌が変色する程度で済むだろうから。そんなことより…
…嫌？…何が…？
『…いや？』
「あのお菓子はもう要らない！」
『…要らないの？そっか、じゃあもうお部屋戻る？』
お菓子を隠されて泣いてたんだよね…？
要らないって事はもう解決したという事でいいのだろうか…
「違う！」
また包丁が大声を出した。
『え…っと、どうしたの？あ、お腹空いた？食堂行きたいの？ついて行った方がいい？』
鶴達には部屋にいると伝えたが、数分の間ならきっと問題ない。
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桃炎(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます！嬉しいです(^-^)続編、頑張りますね！ (2018年4月29日 22時) (
レス) id: 2fc09e070c (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - めっちゃ話の展開が好きで、面白いです！続編でも頑張ってください！ (2018年4月29日 21時) (レス) id: f6a4873bd8 (このIDを非表示/違反報告)
桃炎(プロフ) - 塩キャラメルさん» ありがとうございます！褒めていただけると俄然やる気でます！作者は文章力がないのでうまく表現できないところが多々あるのですが、これからも頑張るので見ていただけると嬉しいです！ (2018年1月28日 23時) (レス) id: 4c3f5bf6c5 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル - 初めてなのにこの完成度....!私には到底できないことをやる...!すごいですね!頑張ってください!ﾌｧｲﾄｰ!ヾ( ￣0)乂(0￣ )/ｲｯﾊﾟｰﾂ! (2018年1月28日 23時) (レス) id: ef2dbfdc67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜 | 作成日時：2018年1月27日 22時
