〜91〜長谷部Side ページ45
畑で水撒きをし終えたあと、そろそろ食堂へ行こうと廊下を歩いていると、Aの姿が見えた。
右を見たり左を見たりしていて歩くのがいつになく遅い。
そしていつも通り可愛い。
この可愛さでは歴史修正主義者にも殺されることなく攫(さら)われるのではないか、と本気で思う。
人間だけでなく敵からも誘拐されてしまわないように俺たちが配慮していなければいけない。
ふと、数日前に三日月が言った事を思い出した。監視役はしばらく必要ない、と三日月は言っていた。
大丈夫なのだろうか‥‥
今も一人で歩いている。今のAは誰にも見られずに本丸から出ることが出来るのだ。
勝手に外出して、誰かに誘拐されてしまう事だって有り得ないことではないのだ。
Aは何も武器を持っていない。
前に堀川から聞いたのだが、Aはあの審神者と木刀を使った勝負をして負けたらしい。それが事実なら刀だって飾りでしかない。
色々と考えている間に、ゆっくりと歩いていたAの近くまで来てしまっていた。
『あ、長谷部！』
足音に気づいたAが振り向いた。
何をしているのか尋ねると、Aは人を探していたのだと答えた。
『ちょっと来て！頼みたい事あるから』
頼ってくれた事が嬉しくて自然と笑みがこぼれた。
Aの［頼みたい事］とは、鶴丸の手伝いだった。
俺が審神者部屋に入るとAは少し話したあと、自室へ戻って行った。
「Aは体調が悪いのか？」
顔色いつもより良くなかった。
‥‥布団を敷いて差し上げに行った方がいいのでは‥‥
「いや、たぶんこの部屋が怖かったんだろうな」
箪笥の引出しを開けて鶴丸が言う。
「部屋？」
鶴丸の隣で一つ下の段の引出しを開けながら尋ねた。
「人間を思い出すんだろうな。
三日月の暗示で人間が怖くなったのか、元々あの審神者が怖かったのか、‥‥まあ、何方にしろ、嬉しいことだ」
そう言ってから、審神者の物を全部取り出してくれ、と何をすればいいのか教えてくれた。
この部屋は審神者を三日月が刺した日の状態で放置されている。
様々な器具が床に散らばったままだ。檻だって少しも位置をずらす事なく定位置に置いてある。
「‥‥そうだな」
数日前、Aの監視役をなくす事に、俺も含めた何人かが反対していたが、確かに今のAが本丸の外に行きたがるとは思えない。
鶴丸の言う通り、嬉しいことだ。
引出しに入っていた審神者の巫女服を取り出して床に置きながら考えた。
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桃炎(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます！嬉しいです(^-^)続編、頑張りますね！ (2018年4月29日 22時) (
レス) id: 2fc09e070c (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - めっちゃ話の展開が好きで、面白いです！続編でも頑張ってください！ (2018年4月29日 21時) (レス) id: f6a4873bd8 (このIDを非表示/違反報告)
桃炎(プロフ) - 塩キャラメルさん» ありがとうございます！褒めていただけると俄然やる気でます！作者は文章力がないのでうまく表現できないところが多々あるのですが、これからも頑張るので見ていただけると嬉しいです！ (2018年1月28日 23時) (レス) id: 4c3f5bf6c5 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル - 初めてなのにこの完成度....!私には到底できないことをやる...!すごいですね!頑張ってください!ﾌｧｲﾄｰ!ヾ( ￣0)乂(0￣ )/ｲｯﾊﾟｰﾂ! (2018年1月28日 23時) (レス) id: ef2dbfdc67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜 | 作成日時：2018年1月27日 22時
