〜70〜 ページ24
歪めたのがわたしなら、元に戻すのもわたしの役目だよね‥‥？
わたしは‥‥みんなに
‥‥しあわせを返してあげなくちゃ‥‥
「俺はここにいるから何かあれば呼んでくれ」
鶴と一言も言葉を交わさず考えを巡らせているうちに、風呂場に着いたようだ。
『はーい！』
弟の前ではあまり暗い顔をしたくない。
だから不自然なほど明るく言い放った。
脱衣所で服を脱ぎ、体を洗って浴槽に浸かった。
‥‥大きい。
ここに来る度に思っていたことだが、一人で入るのは初めてで尚更そう感じた。
風呂へ来る時はいつも、海冬様が一緒だった。
‥‥海冬様、大丈夫かな‥‥？
出会ったときから今まで、海冬様を悪い人だとはどうしても思えなかった。
可哀想、わたしがどうにかしてあげなきゃ、
そう思ってしまう。
海冬様は人の愛し方が分からないから仕方ない、と、どんなに怪我をさせられても軽蔑する事が出来なかった。
ふと周りを見渡して思った。
ここは露天風呂だ。
壁を越えて外へ出れば誰にも気付かれずに、海冬様のいる現世へ繋がるゲートまで行けるかもしれない。
でも
‥‥今はやめておこう。
今日わたしが会った人達は、情緒が不安定なように思えた。
その子達に追い打ちをかけるような事はしたくない。
数日後に、ここから逃げる算段だけつけてお風呂を出ることにした。
脱衣所に入ると、そこにわたしのチャイナ服はなかった。代わりに白装束が置いてある。
わたしの寝巻かと思ったが違うようだ。
‥‥わたしのはもう少し汚れてた‥‥
誰のだろうと思いつつも、それ以外に服がないのでそれを着ることにした。
『鶴、わたしの服は？』
脱衣所を出て、廊下の壁に凭れかかっている鶴に尋ねた。
「ああ、山姥切に渡したぞ？通りかかった時に」
『え？どうして？』
「自分の服を洗うついでに洗濯してくれるらしい。良かったな」
置いててくれれば自分で洗うのに‥‥
『そうなんだ…後でお礼しとく。
…ぁ、そっちじゃなくて！わたしが気にしてたの、あの服じゃなくてこの服のこと！これ誰の？』
自分の着ているの胸元を掴んで引っ張った。
「きみのだろう？」
『わたしのはもっとくすんだ白だったよ？それに…みふ、み…あ、あの、主様の血…血が、…』
返り血が付いていたはずだと伝えたいのに、思い出してしまって上手く喋れない。
手も声も震える。
「ああ、漂白しておいたんだ。きれいだろう？」
伝わったようで安心した。
『…うん。ありがと』
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桃炎(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます！嬉しいです(^-^)続編、頑張りますね！ (2018年4月29日 22時) (
レス) id: 2fc09e070c (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - めっちゃ話の展開が好きで、面白いです！続編でも頑張ってください！ (2018年4月29日 21時) (レス) id: f6a4873bd8 (このIDを非表示/違反報告)
桃炎(プロフ) - 塩キャラメルさん» ありがとうございます！褒めていただけると俄然やる気でます！作者は文章力がないのでうまく表現できないところが多々あるのですが、これからも頑張るので見ていただけると嬉しいです！ (2018年1月28日 23時) (レス) id: 4c3f5bf6c5 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル - 初めてなのにこの完成度....!私には到底できないことをやる...!すごいですね!頑張ってください!ﾌｧｲﾄｰ!ヾ( ￣0)乂(0￣ )/ｲｯﾊﾟｰﾂ! (2018年1月28日 23時) (レス) id: ef2dbfdc67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜 | 作成日時：2018年1月27日 22時
