〜59〜 ページ13
『‥‥鶴、そろそろ離して。怒るよ？』
なかなか離してくれない鶴の手を軽くたたいた。
「あぁ、悪い悪い」
悪びれているようには全くみえないが、鶴は謝ってわたしの手首から手を離した。
『‥‥鶴、…主様はもう現世に帰ったの？』
「帰ったぞ。もうここにはいないから安心してくれ」
‥‥何？安心してくれって…不安だよ
顕現されてからほとんどの時間を海冬様と過ごしてきた。
色々な話をしたから、海冬様が現世に良い印象を持っていないと知っている。
‥‥海冬様、大丈夫かな…？
後で現世に行って海冬様の安否を確認してこよう。
この部屋がわたし一人になったら決行しようと決め、今はおとなしく薬研が戻ってくるのを待つことにした。
「…A、あの審神者の所に行こうなんて考えるなよ？」
わたしの考えている事を盗み見られたような気がした。
『！‥‥‥別にそんなこと考えてないから』
即答するのは不自然だと思い、間をあけて返事をしたが…間をあけすぎた。
却って不自然になってしまった。
「‥‥そうか」
気づいたはずなのに、鶴は一言返しただけだった。
「‥‥A…少しは俺を頼ってくれ」
唐突に鶴が悲しそうな顔をして言う。
『鶴‥‥？』
「‥‥審神者の部屋に、檻や枷がたくさんあった。あんなもので縛られていたんだな」
俯いたまま、いつもより小さな声で鶴が呟いた。
「…だが、助けを呼ぼうと思えばいつでも出来ただろう…？
俺が毎日、あの部屋の近くにいた事には霊力で気づいていたはずだ。大声を出せばすぐに駆けつけてやれるようにしていたんだが…」
『‥‥‥』
たすけてなんて言わない。言っていい立場じゃないもん、と内心毒づいたが、口には出さなかった。
‥‥わたしが来たから海冬様は変わったのだ。
わたしが顕現される前、海冬様は優秀な審神者だったと聞いた。
わたしがいなければ、海冬様はみんなに慕われたままでいられた。
わたしがいなければ、海冬様は審神者を続けていることができた。
わたしがいなければ‥‥‥わたしさえここに来なければ…
‥‥こうなったのはわたしの責任だ。
わたしの責任…わたしの…
「‥‥俺が…弟だから頼れないのか？だったら今日からは俺を兄だと思ってくれて構わないから
…もっと俺を頼ってくれ」
鶴はわたしの事を心配してくれる。わたしが海冬様の部屋から逃げた時、いつも鶴はわたしを気にかけてくれた。ほかの人達もみんな気にかけてくれる。
‥‥でも…
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桃炎(プロフ) - えまさん» コメントありがとうございます！嬉しいです(^-^)続編、頑張りますね！ (2018年4月29日 22時) (
レス) id: 2fc09e070c (このIDを非表示/違反報告)
えま(プロフ) - めっちゃ話の展開が好きで、面白いです！続編でも頑張ってください！ (2018年4月29日 21時) (レス) id: f6a4873bd8 (このIDを非表示/違反報告)
桃炎(プロフ) - 塩キャラメルさん» ありがとうございます！褒めていただけると俄然やる気でます！作者は文章力がないのでうまく表現できないところが多々あるのですが、これからも頑張るので見ていただけると嬉しいです！ (2018年1月28日 23時) (レス) id: 4c3f5bf6c5 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル - 初めてなのにこの完成度....!私には到底できないことをやる...!すごいですね!頑張ってください!ﾌｧｲﾄｰ!ヾ( ￣0)乂(0￣ )/ｲｯﾊﾟｰﾂ! (2018年1月28日 23時) (レス) id: ef2dbfdc67 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜桜 | 作成日時：2018年1月27日 22時
