第四十九回 ページ50
真っ黒なキャンパスに、ネオンの花がまたたいては消えていく。一つ、また一つと花は散っていく。
「ねえゾム！今の見た！？星型だったよね！」
「……」
「ほおお……猫の形だ……あ、今のやつすごい光ってたよね？」
「……せやなあ」
夏の空に輝く花火に目を奪われる。いくつになっても花火は綺麗だと感じて、ついはしゃいでしまう。
「いいねこの場所、ものすごいよく見えるよ！ね、ゾム……ゾム？」
隣を見ると、ゾムと目が合った。目が合ったということは、ゾムは花火を見ていなかったということになる。
「なあ、A」
「何？」
「Aの笑った顔が好きや」
ゾムの背後て打ち上げ花火が光る。
「楽しそうな顔も、食べてる時の幸せそうな顔も、一生懸命頑張ってる顔も、全部、全部好き」
「え、っと」
「なあ、トントンなんかやめて俺にせえへん？俺なら、Aのこと泣かせたりせえへん。ずっと笑わしたる」
ドン、と音が鳴った。
「トントンとおる時、Aはいつも苦しそうな顔してる。俺、Aが悲しそうな顔してんの嫌や。Aには笑っていて欲しい」
「……ぁ」
「俺、ずっと……入学した時から、Aのことが好きや」
遠く、ずっと遠くへ。火照った頬も、頬に落ちた滴も。
トントンは、私のことを好いていない。
私はトントンのことを好いている。
釣り合わない天秤。ならば、こちらから降りてしまえばいいんだと。そう、誰かが囁く。
「俺と、付き合ってください」
打ち上げ花火は、鮮やかに華やかに、そして儚く、夏夜に花弁を散らしていく。
熟れゆく青年達の、酸味の効いた高校生活。
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さとうきび(プロフ) - 天ーてんーさん» コメントありがとうございます！今回は作品の中で唯一の純愛モノになっているので、最後まで読んでいただけると幸いです！ (2019年3月27日 23時) (
レス) id: a9eb261853 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - かっぷけーきさん» 一年越しのコメント返し、大変失礼しました。コメントありがとうございます！これからもどうぞご贔屓に、よろしくお願いします！ (2019年3月27日 23時) (レス) id: a9eb261853 (このIDを非表示/違反報告)
天ーてんー(プロフ) - 初めてコメントさして頂きます。天ーてんーです。いや〜ほんまもう....しんどい。うん、しんどいですわ。言葉で表現するのが難しいほどに好きです。更新頑張ってください！楽しみに待ちますので(*^^*) (2019年3月24日 19時) (レス) id: 0db831385a (このIDを非表示/違反報告)
かっぷけーき - こんにちは。「その娘、我々の狐と踊る」でもコメントさせて頂きました、かっぷけーきです。神秘的な空間とは打って変わって甘酸っぱい青春の感じ、本当にはまりました！これからもさとうきびさんの作品楽しみにしています！頑張ってください！ (2018年3月25日 12時) (レス) id: 7858810c59 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - つさん» 少女漫画くらいの甘酸っぱさが出来ればなー、と思いながら更新しています。コメントありがとうございました！ (2018年2月23日 21時) (レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
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