第二十四回 ページ25
「では、放送器具の用意も大丈夫ということで。あ、もし良ければ実況放送なんかもしていただけると……」
「大丈夫ですよー！部長の方も許可してくれます！多分！」
「じゃあよろしくお願いしますね！練習中失礼しました！」
扉を閉める。資料を確認する。ため息をつく。
「っかれたあ……」
みんなも頑張っているのは分かってる。私以上に校内を駆け回っているメンバーだっているのも。けれど、どうしても言葉は出てしまう。
「……あと一箇所しか回れないな」
サッカー部の部長、コネシマに選手宣誓の話を通さなければ。時計を確認するとそろそろ下校の時間だ。練習中に会いに行くのは迷惑だろうし、部室練の近くで待たせてもらおう。
手持ち無沙汰に紙を眺めていると、体育祭の日は一ヶ月を切っていることに改めて気付かされる。体育祭実行委員の人達も手伝ってくれているが、やはり生徒主体の学校というのもあって準備はなかなかに大変だった。
偏差値はそこそこに高いから勉強を怠った瞬間に下位に落とされる。生徒会の一員としての面目もある以上、後れを取るわけにはいかない。私はこうやって四苦八苦しながら両立させているが、やはりオスマンやグルッペン、トントンには叶わない。大先生の英語だって校内トップクラスだ。
「……はあ……」
体育祭後すぐにテスト期間もある。主将や部活のエースをしているみんなも大変で、それを自分と比べるなんてもってのほかなのに、どうしても心は沈んでいく。
「やだなあ……なんか最近落ち込んでばっかり……」
手に持っていた資料を握りしめた時、視界に色とりどりのユニフォームがいくつも横切ったのが見えた。そのうちの何人が私に気付いたようで、声をかけてくれた。
「A先輩、どうかしたんすか？」
「あ、うん。コネシマを待ってるの。体育祭のことで打ち合わせしたくて」
「コネシマ先輩ならもうそろそろ来ますよ！さっき汗拭いてたんで！」
「そうですね、汗もしたたるいい男やわ！って言ってました」
「コネシマらしいねえ」
サッカー部の後輩達は気さくで、なんとなく気分が晴れる。だがコネシマは一向に姿を見せず、時間は下校時間に近付いていく。
「ごめんね、待たせて。もう帰っていいよ。無理に付き合わせるのも悪いから」
「いや、大丈夫ですよ！」
「俺は先輩と帰る予定なんで、このまま待ちます」
「ありがとうね」
「一つ、質問いいですか？」
「何」
「……A先輩って、彼氏はいますか！？」
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さとうきび(プロフ) - 天ーてんーさん» コメントありがとうございます！今回は作品の中で唯一の純愛モノになっているので、最後まで読んでいただけると幸いです！ (2019年3月27日 23時) (
レス) id: a9eb261853 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - かっぷけーきさん» 一年越しのコメント返し、大変失礼しました。コメントありがとうございます！これからもどうぞご贔屓に、よろしくお願いします！ (2019年3月27日 23時) (レス) id: a9eb261853 (このIDを非表示/違反報告)
天ーてんー(プロフ) - 初めてコメントさして頂きます。天ーてんーです。いや〜ほんまもう....しんどい。うん、しんどいですわ。言葉で表現するのが難しいほどに好きです。更新頑張ってください！楽しみに待ちますので(*^^*) (2019年3月24日 19時) (レス) id: 0db831385a (このIDを非表示/違反報告)
かっぷけーき - こんにちは。「その娘、我々の狐と踊る」でもコメントさせて頂きました、かっぷけーきです。神秘的な空間とは打って変わって甘酸っぱい青春の感じ、本当にはまりました！これからもさとうきびさんの作品楽しみにしています！頑張ってください！ (2018年3月25日 12時) (レス) id: 7858810c59 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - つさん» 少女漫画くらいの甘酸っぱさが出来ればなー、と思いながら更新しています。コメントありがとうございました！ (2018年2月23日 21時) (レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
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