第十五回 ページ16
「ご注文を繰り返させていただきます。エビフライ付きステーキ八百グラムにライスセットがお一つ、カルボナーラにサラダセットがお一つ、コーンスープがお一つ、以上でよろしいですか？ではドリンクバーが二つついていますので、ご自由にどうぞ」
「Aは何飲む？」
「……メロンソーダ」
私がそう言うと、トントンはドリンクバーの方へと向かった。その背中を、ぼんやりと見つめる。
駅中にある学生の財布に優しいファミリーレストラン。周りは家族連れや学生たちで賑わっている。
木丹高の制服は見かけないことに安心しつつ、現状にな頭悩ませた。
放課後に男女二人で食事。これはオッケーなのだろうか。幼馴染、なら許されるのだろうか。もしかしなくても、これはいわゆるデートというものではないのか。
「……分かんないよ……」
「大丈夫？」
気がついたら両手にグラスを持ったトントンが戻って来ていた。
「全然大丈夫！なんでもないよ！ジュースありがとうね！」
「……やっぱりなんかあったやろ」
「なんでそんなに言うのよ。大丈夫だって言ってん」
「何年一緒におると思ってんの。分かるわそんぐらい」
真っ直ぐで、痛いほどの眼差しが突き刺さる。
「……うん」
私は俯いて、ストローでジュースをかき混ぜる。
「俺で良ければ話聞くで。助けにはなれないかもしれないけど」
「……優しいね、トントン。ありがとう」
どうせなら言ってしまおう。そうすれば、少しだけ楽になれるかもしれない。
「……あのね、トントン。
私ね、好きな人がいるんだ」
「……へ」
間の抜けた声。
「な、え、A」
「完全に片想いなんだけどね、その事で悩んでいるように見えたのかもしれない」
「……」
「でも、好きなんだ。その人が」
あなたです、って。トントンの事が好きなんです、って言えたらどんなに良いだろうか。この気持ちを全て伝えられたら。
「……そうか」
「ごめん。変な事話しちゃって」
「あー……いや……」
トントンは語尾を濁して、目を閉じた。何かを噛み締めるように、ゆっくりと。
「……そっか、わかった。出来ることは少ないかもしれないけど、応援する」
「うん……」
「大切な幼馴染だしな」
「……そうだね」
応援、ありがとう。
そして、私の立ち位置は幼馴染から動かないんだって、再確認させられた。
「お待たせいたしました。カルボナーラとサラダセットのお客様は」
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さとうきび(プロフ) - 天ーてんーさん» コメントありがとうございます！今回は作品の中で唯一の純愛モノになっているので、最後まで読んでいただけると幸いです！ (2019年3月27日 23時) (
レス) id: a9eb261853 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - かっぷけーきさん» 一年越しのコメント返し、大変失礼しました。コメントありがとうございます！これからもどうぞご贔屓に、よろしくお願いします！ (2019年3月27日 23時) (レス) id: a9eb261853 (このIDを非表示/違反報告)
天ーてんー(プロフ) - 初めてコメントさして頂きます。天ーてんーです。いや〜ほんまもう....しんどい。うん、しんどいですわ。言葉で表現するのが難しいほどに好きです。更新頑張ってください！楽しみに待ちますので(*^^*) (2019年3月24日 19時) (レス) id: 0db831385a (このIDを非表示/違反報告)
かっぷけーき - こんにちは。「その娘、我々の狐と踊る」でもコメントさせて頂きました、かっぷけーきです。神秘的な空間とは打って変わって甘酸っぱい青春の感じ、本当にはまりました！これからもさとうきびさんの作品楽しみにしています！頑張ってください！ (2018年3月25日 12時) (レス) id: 7858810c59 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - つさん» 少女漫画くらいの甘酸っぱさが出来ればなー、と思いながら更新しています。コメントありがとうございました！ (2018年2月23日 21時) (レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
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