おててつなぎましょ.3 ページ7
やっぱり嫌われたんかな、俺。
だらだらと後悔してもどうしようない事は自分が一番知っている。なのに気分は前を向かない。
沈む夕日を眺めてため息。
前に一度だけ女性と付き合ったことはある。本気で惚れていた。なのに日が経てば冷めていった。振られるのは目に見えていた。
でも、今回の恋は全然違う。
どうしようもなく好きで、惹かれてしまう。この手で笑わせてあげたい。幸せにさせたいと欲望が渦巻くのだ。
「……ほんま俺、女々しいわ」
自虐ネタは誰の耳に入る訳もなく、暗い部屋にのみ響いた。
「Aは、他のやつの方が幸せになれるんかな」
俺じゃなくて、違う誰かとの方がーー
「嫌だよ、そんなの」
「……A」
いつ部屋に入って来たのだろうか。俺の驚きを無視してAはこちらへ歩み寄ってくる。
「私はシャオくんだからす、好きなの」
「初めて好きになったのがシャオくんで、いつもシャオくんのことばかり考えてるの」
「だから、いきたり触れられたら緊張しちゃって、その、逃げて」
ーーごめんなさい。
……何してんだ俺。
彼女をこんなに落ち込ませて。
こんなの、彼氏失格じゃないか。
「こっちこそ、いきなり変な事してごめんな」
「え、でも」
「人にはそれぞれタイミングがあるもんな。Aに合わせる」
彼女に寄り添いながら進んでいけばいいだろう。こういう不器用なところにも惹かれたんだから。
「……ありがとう」
「ええよ。……ところでさ」
さっきから気になっていたことを聞いてみる。
「いきなり、じゃなければええの？」
我ながら馬鹿で調子者だと思ったけど、この際だから聞いてみた。
いきなり触れられたから駄目なら、事前に言えばセーフか。いや、そんな簡単じゃないよな。
「……多分」
まじですか。
「い、今は大丈夫」
なんてこった。
おずおずと控えめに出された手。え、これいいの？握っていの？
「……じゃあ、いきます」
重ねてみた。
……思っていたよりも小さくて白い。あとすべすべしてる。
何となく触っていると、くすぐったそうな声を出すA。
「も、もういいかな」
「うーん、手を繋ぐっていうんは」
こういうことやろ。
指を絡めて重ね合わせる。所謂恋人繋ぎというやつだろう。
「なあ、A」
「……何、シャオくん」
真っ赤な顔をしながらも、ちゃんと返事をしてくれる。
「俺、Aのこと大好きやで」
「……私だって、大好き」
ああ、俺の彼女は今日も可愛い。
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さとうきび(プロフ) - えるをん×@×IAさん» コメントありがとうございます！これからも精進してまいります。応援、よろしくお願いします！ (2018年4月5日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
えるをん×@×IA(プロフ) - とても素敵な作品だなと思いながら読ませていただいている者です。これからも頑張って下さい(´q`) (2018年4月5日 0時) (レス) id: b8e4739678 (このIDを非表示/違反報告)
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