おててつなぎましょ.1 ページ5
「おいシャオロン、どんな感じだ」
総統室に遊びに来てグルッペンから一番に言われた言葉。
俺はその意味を一瞬で理解した。
「……あー、Aとの事？」
「あ、俺も聞きたい」
一緒に来ていた大先生も気になるようだ。
「……笑うなよ？」
「？おう」
念を押して話し始める。
そう、あれは昨日の出来事だった。
「シャオくんお疲れ様」
「ん、ありがとな」
コネシマとの模擬戦を行い、汗だくになる俺にタオルを差し出すA。
いつもと変わらない表情をしているが、二週間前に付き合い始めた。
俺にとっては長い日々だったが、未だ進展は無い。
……二週間である。
……いや、もっと何かあるでしょ。
最近の学生だって一日でキスだの何だのするよね？
しかも俺らは二十歳越えで経験豊富でもおかしくないのにこの現状！やばいと思うで！
肝心の彼女を見ると、前と変わらない笑顔でこちらを見ている。
可愛い、可愛いけどさ！
こう、俺も男であり彼氏であってさ。色々好きな人としたいことはあるもので。
……せめて手は繋いでもよくね？ね？
淡い希望を抱きながら、食堂へと二人で向かう。
その間もAはその日あったことを楽しげに話している。
「今日のお昼はひとらんが担当かな」
「せやなあ、和食がええな」
何気ない会話も嬉しいが、これでは前と変わらない。
Aの空いている左手。さりげなく、自然に手を近づけてみた。
どんな反応するかな、なんて期待したのだが。
「ーーあ、」
触れた瞬間、弾かれるように手が離れた。
一瞬何が起きたのか分からなくて、動けなくなった。
「……A」
「ご、ごめんね」
何に対してのごめんなのか。ショックやら驚きで頭は働かず、思考は止まったままだ。
Aは視線をどこかに泳がせて、逃げるように食堂へ駆け込んでいく。
俺はそれをぼんやりと見ていることしかできなかった。
「ーーという訳です」
ああ、思い出すだけで涙が出そうだ。
「彼女にも不人気か」
「グルちゃんそれはトドメ刺したで」
言葉の暴力が胸を貫き、項垂れる。
「だから昨日の昼ん時来なかったんか」
「ショックや……もう死ぬ……」
トントンが慰めるようにクッキーを差し出してきたので、もそもそと食す。
彼女に軽く拒否されて、俺のライフはゼロに等しい。まさか手を繋ぐことが駄目な世の中なのか。
「んー、これは深刻な問題やなあ」
「大先生、何とかしてやれ」
「僕！？他人の色恋沙汰はなあ……」
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さとうきび(プロフ) - えるをん×@×IAさん» コメントありがとうございます！これからも精進してまいります。応援、よろしくお願いします！ (2018年4月5日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
えるをん×@×IA(プロフ) - とても素敵な作品だなと思いながら読ませていただいている者です。これからも頑張って下さい(´q`) (2018年4月5日 0時) (レス) id: b8e4739678 (このIDを非表示/違反報告)
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