四十六話 ページ46
店内は暖かくて、身体の力が抜けていく。
シャオくんはあまり来たことがないのか、しみじみと商品を見ていた。
私はお目当ての物を見つけ、どれにしようか悩む。
桃の香りと石鹸の香り、どちらもいい匂いがするなあ。でも流石に戦場でつけたら怒られるよねえ。手袋したら大丈夫かな？
気に入った桃の香りのするクリームを買い、他の商品を見て回ることにした。
いかにも怪しいものから、恋の秘薬なんてものが並べられている。
シャオくんに見せようと彼を探すと、
「こちらの商品もいかがですか？おすすめですよ」
「あ、いや俺は別に……」
「これを使えば相手も一発です！お値段もお安くしますよ〜」
店員さんに押し切られる姿がそこに。
押しに弱いのか、めちゃくちゃ焦っている。
その間にも詰め寄られている彼。
……何故か私は、勝手に体が動いていた。
「……だめ、」
シャオくんの手を握る。
彼が知らない女の人と話している。その事実にとても胸が締め付けられた。
ただの店員さんじゃないか、別に何も無いはずなのに。
……なのに何でこんなにも悲しいのだろうか。
「A？」
何も言わない私に、困惑するシャオくん。
そんな雰囲気をいち早く察したのは、店員さんだった。
「……体調が悪いようですね。外まで送ります」
手を握ったまま、外に出る。
寒いせいか、人はいなかった。
「……A、大丈夫か？やっぱり調子悪い」
「違うの」
心配するシャオくんの声を遮ってしまう。それくらい自分でも混乱していた。
「シャオくんが女の人と話しているのを見てると、もやもやするの」
「最近ずっと続いてて、シャオくんは関係ないのになんか苦しくて」
「……本当に、ごめんなさい」
話し終えるまで黙って聞いてくれた。
きっと軽蔑した。嫌われた。
そう思うと、目から涙が零れてしまう。
下を向いて、目を瞑った。
勝手に話して泣くなんて、自分勝手にも程があるよね。
涙は地面に吸い込まれ、小さな染みをつくっていく。
「……あっちに座るところあったよな」
それだけ言って、優しく手を引かれた。
下を向いたまま歩く私は、その手を握り続けた。
子供が大切なおもちゃを離さないように、中々捨てられない物のように。
着いたのは公園で、噴水の水だけが流れる音がした。
近くのベンチに座らされ、頭を撫でられる。
コネシマより丁寧で、兄さんよりもぎこちない触れ方。
私が泣き止むまで、ずっとそうしてくれた。
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さとうきび(プロフ) - 怜さん» 返信が遅くなり申し訳ありません。確認したところ特には異常ありませんでした。ご報告ありがとうございました。 (2018年5月18日 22時) (
レス) id: d7a52c799a (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 38話非公開になってませんか？ (2018年5月15日 0時) (レス) id: c7556a56f2 (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 夜狐さん» コメントを返すのが遅れてすいません。これからもどうぞよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
さとうきび(プロフ) - 独奏さん» コメントありがとうございます！返すのが遅れてしまいましたが、これからもよろしくお願いします！ (2017年12月5日 22時) (レス) id: c845d614fc (このIDを非表示/違反報告)
夜狐 - 題名と内容が気になって見にきました！自分はこういうお話好きですよ♪次の更新楽しみにしてますね♪ (2017年11月7日 21時) (レス) id: 8cf2fbf423 (このIDを非表示/違反報告)
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